「自分が好きなことは何か？」が切り口だった
―今までに立ち上げた起業 / 新規事業の内容を一つ教えてください。
村上 卓斗：
私が立ち上げた事業はアニメ動画製作サービスです。 会社紹介やサービス紹介などをアニメで伝えることにより、お客さまの理解度が高まり購入意欲が高まるような動画を制作させていただいております。
私たちのサービスは、
1.ハイクオリティなのに、29.8万円から
2.オリジナルイラストも作れる
3.依頼はシンプルで柔軟に対応
一般的には考えられないサービスの質を担保して提供しております。
どれほどコミットしてサービスを行なっているか、アニメーション動画製作の段階の多さを説明させてください。
企画段階では、クライアントのニーズや要求を聞き取り、それに応じたアニメーションの企画を行います。 制作段階では、アニメーションを制作するためのキャラクターや背景のデザイン、アニメーションのモーションや撮影、そして各種特殊効果などを制作します。 撮影段階では、アニメーションを撮影し、録画します。 編集段階では、撮影した映像を編集し、アニメーションの効果や音楽、吹き替えなどを加えます。 最終的には、配信段階でアニメーションをインターネット上やテレビ局などで配信することで、お客様に喜んでいただける作品を完成させています。
こういったことを丁寧に行なってきた結果として多くのお客様から引き合いをいただけるサービスにまで成長いたしました。
―その事業を立ち上げた背景（市場や時代の流れなど）を教えてください。
村上 卓斗：
当時、なかなか事業がうまくいかずに悩んでいました。 その中でも特に大きな悩みは「自分が好きな事業を行えていないことによるモチベーションの低下」でした。
その際に、「実際に自分が好きなことはなにか？」を考え、クリエイティブを作り人を喜ばせることが得意なことで好きなことだと自覚することが出来ました。 その中でも、知見がなくても努力をすれば、小さく始められて大きな市場につなげていける事業が動画製作でした.
動画製作はインターネットの普及やSNSの普及などに伴い、市場でニーズが高まっています。また、ビジネスにおいてもプレゼンテーションや広告、企業情報の発信など、様々な場面で動画が活用されるようになっており、このニーズはさらに増えると予想しています。加えて、新しい技術やプラットフォームの登場などにより、動画制作の手法や形式も多様化し、市場はより多様化しています。
そのため、動画製作の事業は将来的にも持続可能なビジネスだと考え、自分のエッセンスを加えることで事業を加速させていくことができたと思っています。
お客様のニーズに常に応える
―どのように事業を展開し成功にまで至ったのか、成功要因を3つ教えてください。
村上 卓斗：
私たちが事業を展開していき、軌道に乗らせることができた成功要因は以下となります。
【1】地方にオウンドメディアを複数個持ったこと。 コンテンツSEOをおこなっている事業者は当時地方にほとんどありませんでした。やはり記事コンテンツを定期的にアップしていくことはコストですし、そこにマーケティングの予算をかけられる企業が地方には少ないと言うことがあったと思います。
そこで、私は東京で攻めるより、まずは地方でオウンドメディアを多数構築しそこから問い合わせを受けていく戦略を実行いたしました。それが功を奏して地方の大企業からご相談をいただくようになり、クリエイターを派遣して売上の礎を築けました。
【2】お客様の行動動線を洗い出しYouTubeからの問い合わせ動線を作ったこと。 弊社のメインサービスである、動画制作をおこなっている企業は非常に多いです。 ツールの発展や、クリエイターの数の相対的な増加により、動画製作の単価は下り、さら争いが激しくなっております。 例えば、一昔前までYouTubeの動画編集は1本8万円程度でしたが、個人の製作者も増えてきた現在は5000円で編集ができることさえあります。それほど単価は下がっており厳しい市場でもあります。 そのなかで抜き出るために、自分達のクオリティの高い動画を見てもらう場所を探す必要があると感じました。
そこで、カスターマージャーニーをつくり、どの段階でお客様に選んでもらうべきかを考えた時にYouTube上で自社のPR動画が上位表示されることが最適だと考え、それを実行に移したことが成功要因の二つ目だと思っています。
【3】クライアントの課題に対して解決できる能力を高め、人脈を常に作り続けたこと。 動画製作を起点にクライアントの課題への解決策を提示していると、 「キャラクターデザインもしてほしい」 「Web制作もしたい」 「VTUberを作れないか？」などのニーズがでてきます。 そんな時に、できません！では事業の拡大もありえません。
お客様のニーズに応えられるように常に学び、常に多くの人たちを仲間にしてきたからこそデザインで言えばなんでも応えられる会社になりました。 ホームページも、動画製作も、キャラクターデザインも私自身が学びそれ以上にできる人たちとの関係を作ったことが三つ目の成功要因だと考えております。
慢心こそ最大の敵
―事業を展開する中で、失敗と感じた出来事を3つ教えてください。
村上 卓斗：
私は前に進んでいる限り失敗ということはあり得ないと思っています。ただ、事業が思い通りにいかなかったなぁという経験は数知れずあります。その中で、敢えてあげると次の3つです。
【1】自分だけは大丈夫という慢心。
失敗したと感じた出来事の一つ目は、自称投資家に騙されてたことです。 あるあるだと思うのですが、例に漏れず私も投資詐欺にあったことがあります。 年配の詐欺師でしたが、事業としては数千万円、個人的には100万円ほど詐欺にあいました。 「こんなに人が良さそうな人だから間違いないな！」 この思考がいけませんでした。 投資する前に、十分にリスクを考えなかったことやその方のバックグラウンドをきちんと調べず信じすぎてしまったことなど今でも多く反省することがあります。
【2】無駄な事業展開。
失敗したと感じた出来事の2つ目は、多岐にわたる事業に手を出してしまったことです。 メディア、飲食、D2C、コンサル、補助金サポート、Web制作… お金になりそうな事業に深く考えずチャレンジしてきました。 しかし、それができるのは資本がある企業だけです。 予算とリソースは尽き、効率よくアプローチすることができず、全ての事業が中途半端なものになってしまいました。 結果的にリリースできないサービスも複数個発生してしまいました。 多くの時間をロスしてしまったことは言うまでもありません。
【3】信頼の押し付け。
失敗したと感じた出来事の最後は、信頼していた責任者が突然姿を消したことです。 以前創業した際の飲食事業を展開していた時に行った出来事です。 信じていた方が無責任なことをするとは思っていなかったからこそ、当時連絡を受けた際は顔面蒼白になった記憶があります。
しかしこれも、勝手に信頼していたこと、リスクを考えていなかったことや、仕組みを作れていなかったことなど自分の過信が原因だったと思います。 これらは、私が事業を展開する中で、失敗と感じた出来事の一例です。共通項としてあるのが、自分のうぬぼれです。この失敗があったからこそ、今の事業に活かせる経験を詰めたなと思っています。
自分が心から楽しめるものでビジネスを
―最後に、これから起業 / 新規事業を立ち上げる方へのメッセージをお願いします。
村上 卓斗：
色々と話したいことはありますが、大きな観点では3つのメッセージを届けたいです。
【1】得意で、好きで、世の中に貢献できることをする 「自分がやりたいビジネスをする」ことが大切です。やはり自分が楽しいと思ってできることでないと長続きしません。起業することで実現したい想い明確にし、それをもとに事業計画を策定しましょう。
【2】そのビジネスに本当にニーズがあるのか調査する 市場や業界をよく調べ、競合他社やニーズがあるかどうかを確認しましょう。また、自分のビジネスが独自性や差別化があるかどうかも確認しましょう。当たり前のことですが、本当に重要です。これらを理解したうえで、ビジネスプランを実行すると必然的に売り上げにつながります。
【3】謙虚であれば成功します.
そして最も重要なのが、自惚れを無くすことです。私と同じ轍を踏む必要はありません。謙虚に世の中の役に立つ事業をコツコツとやり続ければ必ず成功すると思います。 これらが、起業を考えている方へのメッセージになります。起業はリスクが伴いますが、自分がやりたいことを突き詰めることで、新しい世界が見えてきてワクワクすることも多くあります。是非そんな貴重な体験をつかみ取ってください。
編集後記
村上 卓斗（むらかみ たくと）/ 英国のUniversity of Leeds卒業後、株式会社光通信に経営幹部候補としてに入社。 企業戦略、人事採用に従事した後、WebメディアEPARKの事業マネージャーとしてPR業務の責任者となりプロジェクトを実行する。 退職後、地域創成事業、Web事業、飲食事業を行う会社を設立。 2年ほど事業を運営したのち、事業譲渡&バイアウト。 2020年にGivee（ギビー）株式会社を設立。 クオリティの高い動画製作とファンづくりマーケティングで、大手企業のブランディングやマーケティング、制作などを依頼されるまでの会社に成長している。 『100の仕事で、100億の感動 を創る』と言う想いのもと、世界へインパクトを与えるクリエイティブを世の中に発信中。
