起業するなら

起業して経営者になりたいと思っている人は少なくありませんが、実現に踏み出せなかったり、上手くいかず諦める人が多いです。その理由は、「起業したけどアイデアがない」というものから、資金不足、やり方がわからない、利益が上がらなかった、持続できなかったなど様々です。起業するなら、起業するために必要なことと、起業におすすめの業種を知っておく必要があります。今回は、次の点について解説します。

  • 起業とは?個人が起業するには、これだけは最低限知っておくべき
  • 起業するために必要なこと3つ
  • 起業したいけどアイデアがない人は、最終目標から逆算する
  • 起業のメリットとデメリットを知り、自分に最適な起業の種類とやり方を探る
  • 起業におすすめの業種
  • 起業家になるには注意が必要
目次

起業とは?個人が起業するには、これだけは最低限知っておくべき

起業とは、新しく事業を始めるために会社を作ることとされていますが、法人(会社組織)だけでなく、個人事業主の開業も自営業であり起業に含まれます。どのような業種で、どのような事業を始めるにせよ、個人が起業するなら、最低限知っておくべきことがいくつかあります。まず最初に「起業のやり方」、つまり起業の流れを理解しましょう。どんなビジネスをするか決めたら、次の7つの手続きが必要になります。

  1. 個人事業主か法人かを決める。
  2. 事業場所を決める。店舗や事務所を構えるのか、無店舗や在宅で仕事を行うのか。
  3. 資金調達方法を決める。貯蓄だけではなく、融資、助成金、クラウドファンディングのような出資など手段は様々。
  4. 業種によっては資格が必要。
  5. 個人事業主であれ、開業届と青色申告する場合は青色申告書類の提出を行う。
  6. 法人なら法人設立届出書提出。
  7. SNSなどを使い、プロモーション。

起業するために必要なこと

起業を成功させるには、何が必要でしょうか。アイデア、資金、人脈、多くの人はこの3つを挙げます。これは間違いではありません。ですが「人脈がある人が、周りからも賛成されたアイデアを持って、十分な資金を調達して始めた」ビジネスが頓挫したり、数年もたないことは多々あります。これから起業するなら、次の3つのキーワードを重視することが大切です。

無理なくできて
ニーズがあり
好きなこと

これはどれが欠けてもいけません。資金面や体力面で無理が多い起業は、失敗する可能性が高いです。また起業に付き物の困難やトラブルを乗り越えるには、「起業を成功させたいという強い意志」「目標」と共に、「自分が好きでやりたいことをやっている」ということが大きな力になります。しかしながら、顧客側のニーズがない商品やサービスをいくら売ろうとしても、売上は上がりません。これらを踏まえて、どの業種でどのようなスタイルで起業するかを決めるのですが、それには「起業のメリット・デメリット」と「起業規模・態様の種類」を理解することが必要です。

起業のメリット、デメリット

そもそもあなたが起業したいと思った理由は何でしょう。それは起業者には、会社員にはないメリットがあるからです。

起業するメリット

起業には次のような大きな魅力があります。

  • 定年後も働ける
  • 時間や場所の融通
  • 好きな事業に携われる

少子高齢化社会を受け、人生100年時代、70歳まで現役と、国を挙げて「高齢者も働く時代」であることが強調されるようになりました。これを聞いて「70歳まで、今の会社で今と同じ仕事をフルタイムでやりたい。」と感じるでしょうか。多くの人は、リストラ、低賃金や悪条件での再雇用、年齢を理由にした不採用、体力・記憶力・順応力の低下といった不安のほうが大きいのではないでしょうか。起業すれば、定年後も働けます。自営業には定年はありません。

また、結婚、出産、配偶者の転勤を機にキャリアを断念する女性は珍しくなく、親の介護のために離職する人も年々増えています。前者は、もう一度社会復帰しようと思っても、臨むような仕事に就けないことが圧倒的に多いです。後者は、介護離職からの貧困として社会問題になっています。ではどうするか。非婚、子どもを持たない、親の介護を拒否する、いずれも非常に悩ましい選択になります。日本社会のこれらの問題が数年以内に解決、改善するとは、誰も思わないでしょう。起業の素晴らしいところは、働く時間や場所を自分で選べる、または自分の都合に合わせることができるということです。在宅、ノマド、フレックス、時短、不定休といった働き方も可能です。そして何よりも、自分が好きなこと、したいことを仕事にできるというのは、フルタイムワーカーであれば1日の1/3以上を仕事に費やすと考えれば、人生の充実感や幸福感にとって非常に重要です。

起業のデメリット

一方で起業にはリスクやデメリットも当然あります。

  • 全てが自己責任
  • 稼げるとは限らず、一切の保証がない
  • 年金が少ない

起業に失敗すれば、借金を負うリスクもあります。そうでなくても折角貯めた資産を起業費用として使い果たしてしまったり、利益が上がらず生活費もままならないということは十分考えられます。会社員の仕事はチームワークなので、事務的作業をアシストしてくれる事務員、チェックを入れ指導してくれる上司、仕事を教えてくれる先輩と様々な協力者がおり、部署で何かを行う時には皆で知恵を出し合いリスクについても話し合うことができます。個人で起業するとなると一切合切が自分次第です。起業支援などを上手く利用し、情報収集や勉強に努めなければ、出てくるアイデアも知恵も今の自分の一人分のみです。

また会社員のメリットであり自営業者のデメリットとして大きいのが、年金問題です。自営業者が加入できるのはは国民年金(基礎年金)のみです。毎月16,540円を40年間支払い、将来貰えるのは月65,000円のみと、老後の生活を賄うにはまったく足りない金額になります。この点、会社員は厚生年金に加入し、雇用主である会社が年金の半額を納付するため、最終的な受け取り金額は月15~17万円と、十分とは言えないにしても1人の最低限の生活費は保証されます。そのため、起業するなら自分でiDeCo(個人型確定拠出年金)などに加入し、老後資金をしっかりと用意する必要があります

自分に合った起業形態はどれか

起業というと会社を設立するというイメージが強いですが、起業には法人設立、個人事業主という2種類の方法があります。更に、フランチャイズ、代理店といった方法もあります。また起業して事業を行う場所も、店舗やオフィスを構えるやり方と、在宅やオンラインで始めるやり方があります。更に、最初からフルで起業する人もいますが、副業としてパートタイム起業家になる人もいます。このパートタイム起業は、本業が別にある人だけでなく、家事、育児、介護などでフルでは働けない人にも適したやり方です。

自分の境遇、体力などに合った企業形態を選ぶのはもちろんですが、もう一つ大切なのは、自分が起業して最終的にどうなりたいか、何をやりたいかという目標です。目標が明確であれば、そこまでの道筋が絞られます。「子どもが小さい間は、昼間の数時間と子どもが寝てからの数時間のみ、家で仕事をしたい。ゆっくりと時間をかけて、規模を大きくしていこう。」と考えている起業家と、「年商10億円の会社を作りたい。」と考えている起業家では、事業の形態、場所、業種、引き受ける仕事の量、従業員雇用など何もかもがまったく異なってきます。

起業におすすめの業種

一口に「おすすめの起業業種」と言っても、起業する人のスキル、状況、目的、そして何を重視するかによって異なります

初心者が少ないリスクで起業できる業種

  • WEBライターなどWEB関連
  • ブログ、アフィリエイトなど
  • 家事代行など代行サービス
  • せどり、ネットショップ経営

経験やスキルを活かして起業できる業種

  • デザイナー(WEB、UI/UX)
  • IT関連(システム開発、ゲームやアプリの開発、AI開発など)、
  • コンサルティング 
  • セミナー講師、サロン経営 
  • 塾経営
  • オンライン教室の講師
  • ハウスクリーニング

副業として小規模の起業に適した業種

  • 動画編集や投稿
  • ネイリスト、エステティシャンなど美容系
  • ハンドメイド制作販売
  • ポイントサイトやアンケート(ポイ活も立派な副業です)
  • スキル販売(自分のスキルを売れるサイトとして、ココナラなどが有名です)

初期投資をできるだけ抑えて起業するならインターネットを利用できる業種がおすすめ

スマホやパソコンを使った起業は、場所代という大きな経費を節約することができます。

  • ネット上のメタバース(仮想空間)における取引
  • アプリ開発
  • アフィリエイト、ブログ、YouTuberの広告収入
  • ライター
  • デザイナー(WEB、イラストレーター)
  • せどり、転売、オークション
  • ECサイト
  • オンラインサロン主催
  • スキル販売
  • 動画編集などコンテンツ作成

将来性が期待できる業種

  • プログラマー
  • オンライン教室
  • 高齢者向けサービス
  • 宅配サービス

在宅でも起業可能な業種 

家庭の事情や本人の希望により、在宅で働きたいという人も増えています。起業は在宅可能な業種がたくさんあります。

  • ネットショップ
  • ライター
  • システムエンジニア
  • コンサル
  • アフィリエイト
  • ネイルサロン
  • ハウスクリーニングやリフォーム
  • 事務、
  • 家事代行、
  • YouTuberや配信

フランチャイズに向く業種

企業にロイヤリティを払い、その企業の商品を売るフランチャイズは、起業初心者にとって、起業から経営を軌道に乗せるまでの経営ノウハウなどのサポートを受けることができる上に、企業の看板(ネームバリュー)を利用できるというメリットがあります。

  • 飲食店
  • コンビニ
  • 学習塾
  • 一部のホテル

他にもある、本格派の起業者が知っておきたい、最近人気の業種

  • 結婚相談所
  • パン屋
  • カフェ
  • 移動販売業
  • ラーメン屋
  • 買取サービスの経営
  • 代行サービス
  • 高齢者向けサービス提供
  • コンテンツ制作
  • オンラインコンサルティング
  • オンライン教育

起業するなら知っておきたい注意点

資金面での注意点

個人事業主が融資を受けやすい業種を知っておく必要があります。日本政策金融公庫は、事業資金であれば運転資金や設備資金に幅広く利用できると言いつつ、実際には業種や営業内容によっては融資不可となっています。その一方で、介護に関連する起業は、国からの支援制度も手厚く、2025年には後期高齢者が2179万人になることが見込まれていることもあり、失敗するリスクの少ない事業です。またコンサルティングは、能力があれば資金は必要ありません。他にも、物販事業もインターネットなら、仕入れのみの低資金で始められます。EC業界は市場規模が拡大しており、OEM輸入などで初心者でも月売上100万円の大台に乗るケースがよく見られます。トランクルーム市場も15年前に比べ約3倍の規模に成長しており、まだまだ拡大することが見込まれていますが、設備投資や初期費用の面で、参入ハードルが低いです。

将来性についての注意点

起業するなら将来性がある分野を選ぶことが非常に重要です。将来性があるとされている業種はこちらです。

  • IT業界は花形です。80%の企業がIT人材の不足を訴えているため、技術提供、人材あっせん、開発受託など幅広いビジネスチャンスがあります。また農業のAI、ロボ、ドローンなどIT化も注目されています。 
  • ソフトウェアも成長し続けている業種で、DX化が求められる昨今、まだまだ伸びしろがあるでしょう。
  • ネットショップも既に述べたように、成長している業界です。
  • 物流も、上記のEC業界の繁栄で需要が拡大しています。
  • フードデリバリーは、コロナ禍の影響で市場規模が50%増加しました。最近は複数の店名を持ち、厨房設備しかないゴーストレストランも存在します。
  • 人材派遣業も、社会の深刻な人手不足を受けますます需要が高まっている業種ですが、特定の業界に特化した専門的な派遣会社が最近のトレンドです。 
  • 電気通信工事も知識、技術、資金は必要ですが、インフラ設備の老朽化に伴い業績好調です。
  • コンサルタント業は既に供給過多という声もありますが、将来性ある分野を選ぶことで他と差を付けられます。コンサルティングはパートタイム起業として始めやすいので、まずは副業として起業し、集客が安定したら本業にするのが賢明でしょう。コンサルタントに限らず起業家の半数はパートタイム起業家で月商50万円以下ですが、そのうちの70%が黒字という好業績を出していることも覚えておきたいものです。

開業率と廃業率についての注意点

起業するなら、自分が手をつける事業の開業率と廃業率を知っておくことが役に立ちます。

開業率が高い=起業しやすい、ライバルが多い

廃業率が高い=継続が難しい

実は起業で圧倒的に多い次の業種は、廃業率も高い業種であることが多いのです。

  • 宿泊業:ホテル、民泊など
  • 飲食サービス業
  • 娯楽スポーツ:パーソナルジムなど
  • 生活関連サービス業
  • ベビーシッター
  • 娯楽業
  • 情報通信業

特に上の3つは、開業率と廃業率の高さが目につきます。これらのどれかで起業したいと思っているなら、念入りな事業計画を立て、同業との差別化をはかり、SNSなどを利用してプロモーションをしっかりと行う必要があるでしょう。

社会情勢の変化についての注意点

コロナ禍で多くの企業や個人事業主が、赤字に転落し、国を挙げての手厚い支援があったにも関わらず廃業を余儀なくされたケースは少なくありませんでした。コロナ禍程の大きな社会変化も、いつまた起こるか誰にもわかりません。それほど大規模ではなくても、社会は必ず変わります。かつてどこの家庭にも街角にもあった固定電話や公衆電話は、スマホに取って替わられ廃れました。起業するなら、世の中の変化に対応できる「身軽さ」と「トレンドへの敏感さ」は必ず備えておきたいものです。世の中からニーズのない業種、商品で成功することは困難です。

固定費用と人件費の圧縮についての注意点

経費を抑えて売上を上げることが起業の成功であることには異論はないでしょう。そのためにまずできることとして、固定費用(主に不動産)と人件費を抑えることは大切です。オンラインでの起業やバーチャルオフィスの利用は、低資金での起業に役立ちます。また、はじめは1人でできる業種を選ぶことも考えるべきです。従業員を雇えば、その分、人件費がかかり、マネジメントに時間や労力も取られます。しかしながら、1人で、またはほぼ1人で起業するなら、体力的に続く業種を選ぶ必要があります。

まとめ

起業するなら何が必要か、どのような事を知っておくべきか、そして起業におすすめの業種をご紹介しました。色々な角度から、自分に合う業種と業態を選ぶということについて解説しましたが、もちろん最も大切なのは、自分がやりたい業種を選ぶことです。自分が尽きせぬ情熱を持ててこそ、起業を成し遂げることができます。そのうえで次の3つがあれば起業の成功度は大きく高まります。

  • その業界についての知識と経験、人脈
  • ニッチな需要の掘り起こし
  • 補助金が得られやすい社会貢献
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