マネジメント能力が高い人と低い人との違い、マネジメント能力とは何か、身に着ける方法について

管理職の責務はマネジメントです。広い意味でのマネジメントとは、企業のヒト・モノ・カネの管理・運営ですが、中間管理職であれば、自分が担当する部署のメンバー、業務、予算を管理することを指します。特に部署のメンバーである人のマネジメントは、管理職にとって非常に重要です。マネジメント能力が高い人が、管理職として仕事ができる人となります。この記事ではマネジメント能力が高い人にはどうやったらなれるのか、何が必要なのかということについて解説したいと思います。この記事でわかることは、次のとおりです。

  • マネジメント能力とは
  • マネジメントにはどんな能力やスキルが必要か
  • マネジメント能力が高い人と低い人との違い
  • マネジメント能力を身につける方法
目次

マネジメント能力とは

ビジネスにおけるマネジメントとは、経営管理や経営運営のことでうから、限りあるリソースであるヒト・モノ・カネを有効に活用して成果を上げ、経営目標の達成を目指すための能力が、すなわちマネジメント能力です。具体的には次のような役割をマネジメント担当者は果たします。

  • 目標を設定し、メンバーに伝え理解させる
  • 進捗を管理し、状況を把握する

マネジメント能力を構成する3つのスキル

マネジメント能力を構成する3つのスキルを紹介しましょう。

アセスメントスキル

アセスメント(assessment)とは、査定や評価を意味します。アセスメントスキルとは、チームメンバーの状況を理解し、正しく評価するスキルです。マネージャーは、個々の従業員の「能力」「行動傾向(性質)」「育成ポイント(強みと課題)」を把握し、その能力を最大限に発揮できるよう環境を整えたり指導したりする必要があります。そのためには、日頃からコミュニケーションと観察に努めることが重要です。

アカウンタビリティスキル

アウンタビリティ(accountability)とは「説明する義務・責任」を指します。相手が理解できるように伝えるスキルをアカウンタビリティスキルと言います。つまり、相手が理解できる言葉を選び、正しく理解できていることが確認できるまで説明することが重要です。

コーチングスキル

コーチング(coaching)とは指導のことですが、コーチングスキルは、対話を通し本人が自発的に課題の答えを発見することを促すコミュニケーション手法です。部下自身に考えさせ、主体的思考を育成します。

ディズニー創始者のマネジメント理論とは?

一般的にはドラッカーのマネジメント理論が有名ですが、ディズニー創始者のウォルト・ディズニー氏が初期から持っていた【夢を実現するために3つのマネジメント視点】がユニークですのでご紹介しましょう。

夢想家たれ

あまりに現実的な話や小さな話ばかりでは、人は惹かれません。夢を持って物事を考えることが、企業を大きくします。

現実家であれ

夢を実現するためには具体的な計画が必要です。具体的な計画が立てられないなら、その夢は実現性がないのかもしれません。

批評家になれ

問題点やリスクを発見し、夢を実現させるための弊害を取り除くには、単なる批判ではなく論理的にリスクを抽出します。

マネジメント能力がある人とない人との違い

マネジメント能力がある人とない人との違いを明らかにしてみましょう。

マネジメント能力がある人の特徴

マネジメント能力がある人には、次のような特徴があります。

  1. 常に冷静
    マネジメント能力の高い人は、トラブルや危機にあたっても慌てず冷静に状況を見極め、解決に向けて最善の判断をします。
  2. 分析力
    論理的分析はマネジメントに欠かせないスキルです。指示が適切でなければ、ベストな結果は得られません。またメンバーの信頼と協力が得られないことも考えられます。
  3. 洞察力
    部下、同僚、周囲の状況に対する優れた観察力と洞察力があります。進捗やヒトの管理にはこの洞察力が重要です。
  4. 計画性
    マネージャーはプロジェクト全体を把握し、目標から逆算して計画を立案しなくてはなりません。また随時、人員や業務を調整し、計画通りに進むよう調整することも必要です。
  5. コミュニケーション力
    メンバーの要望や問題を聞き、良好な人間関係を構築するコミュニケーション力は質の高い仕事を実現するために非常に重要です。
  6. 責任感
    責任感は部下からの信頼につながります。また成果を上げようという意識が強いことは、管理職に適任です。
  7. 人望
    マネジメント能力が高い人は部下とのコミュニケーションを通し、信頼関係がしっかりと築かれており、人望があります。

マネジメントに向いている人

上記の7つの特徴を踏まえると、マネジメントに向いている人は次のような人物だと言えます。

  • ストレス耐性がある
  • コミュニケーションが得意
  • 決断力、行動力がある
  • 責任感が強い

マネジメント能力が低い人の特徴

反対にマネジメントとして好ましくない特徴を紹介します

部下に仕事を任せられず全て指示する

指示を細かく出すと、一見、仕事ができるように見えます。しかしマネジメントの中には、人材を効率的に活用するという面と、従業員の能力的成長を促すという面があります。指示を出しすぎたり、自分のやり方に拘り、いわば道具のように使うのは、長期的視点に立てばマネジメントとしてマイナスです。必要な部分だけ指示や修正依頼を出し、あとはなるべく口を出さずに見守る姿勢も必要です。仕事のやり方は人それぞれです。自分のやり方が他人には合わないこともあると理解しましょう。自由に動ける余白がなければ、部下の思わぬ才能の発見や発揮も起こりません。

客観性がない

意見や指示に客観性がないマネージャーは、混乱を招きます。物事を客観的に捉えることができない人は、問題に対し冷静に分析することができず、根拠のない直観や独断で判断してしまいます。これではマネジメントが上手くいく可能性は低いです。また意見や指示は、根拠があり論理的でなければなりません。「努力」「根性」「やる気」「意識」という精神論だけで済ませるのは、メンバーの成長に繋がりません。

自分の非を認めない

ミスを認められない人は、部下であるメンバーから信頼されません。またミスを認められない人はミスを隠ぺいしたり放置する傾向があるため、管理職としてのチェック機能を果たせず、マネジメントに向きません。

優柔不断

マネジメントは素早く冷静に正しい決断を下さなければならないことが、往々にしてあります。優柔不断で自分の選択に自信が持てないのでは、損失やトラブルを招きます。

コミュニケーション下手

マネジメントの仕事は、メンバーとコミュニケーションを取り、聞き取り、指示、指導などを行います。説明、指示、管理はマネジメントの重要なタスクです。コミュニケーション力が低いと、意思疎通が上手くいきません。

感情の起伏が激しい

マネジメントでは、メンバーの感情レベルに合わせて話を聞き、コーチングやコミュニケーションを実施します。マネージャー本人が感情の起伏が激しい人では、傾聴できません。また感情的な人は周りからの信頼も得られにくいです。アンガーマネジメントなど自分の感情のコントロールを習得することが大切です。

身に着けるべきマネジメント能力

マネジメントの良い例と悪い例を紹介しました。管理職やマネージャーになるのであれば身に着けるべきマネジメント能力は、以下のとおりです。

リーダーシップ

コーチング力

問題発見力

プロジェクト管理力

それぞれのスキルについて詳しく解説していきます。

リーダーシップ

部下やメンバーをまとめるマネジメントにおいて、リーダーシップは不可欠です。部下からの信頼を得ることで、リーダーシップを発揮し、指示を守らせることができます。

コーチング力

適切な指導やアドバイスを通し、部下やメンバーを成長させることもマネジメントの仕事です。そのためには、部下の能力や特性を知るコミュニケーション力に裏打ちされた、コーチング力が重要です。部下の力を上手く引き出して最大限のパフォーマンスを発揮させるための能力です。

問題発見力

マネジメントを遂行するためには現状を分析し、問題を認識して最適な解決に向けて指示を出す必要があります。この問題発見能力が欠けている人は、マネジメントを上手く進めることはできないでしょう。この問題発見力を高めるには、論理的思考(ロジカルシンキング)が重要です。

プロジェクト管理力

プロジェクト全体の管理をきちんと行うことはマネジメントの根幹です。計画立案、スケジュール作成、人員調整をして、実行後も細かく調整を繰り返します。またトラブルが起きたり、予定通りに進まない時には、臨機応変に対応し、プロジェクトをゴールに導く力が必要です。

マネジメント能力を向上させる方法

上で挙げた4つのマネジメント能力を向上させるには、次のような方法が有効です。

  1. リーダーシップを高めるには、①自分の考えをメンバーに伝える、②優先事項を明確化する、この2点を心がけスキルを磨きましょう。
    • コーチング力を高めるには、①傾聴をメンバーとの日頃のコミュニケーションに取り入れる、②メンバーのスケジュールや事情の把握に努める、③相手を認めるといったように、相手を尊重し、深く知ったうえで指導すると、信頼関係が築け、指導内容が受け入れられます。
  2. 問題発見力を高めるには、現状の分析力と課題解決力を高める必要がありますが、これには後述する資格、セミナーなどが有効です。
  3. プロジェクト管理力を高めるためには、円滑なコミュニケーションに基づいた信頼関係、人間力と、ビジネススキルの双方が必要です。資格、セミナーでの能力アップも有効でしょう。

この他に重要なのが

  1. 自分自身のストレス解消法を知るということです。多くのプレッシャーの下、冷静さを保ち、部下の個別の事情や心理状態も勘案して、起こりうるトラブルや問題に対処していかなければならないマネジメントには、自分自身のメンタルヘルスケア能力も求められます。

積極的に受けたい研修、セミナー、資格試験

マネジメント能力を継続的に高めていくのに最も有効なのは、実践です。しかしながら、効率よくマネジメントを行う大きな助けになるのが、研修、セミナー、資格試験です。

研修やセミナーを受ける

マネジメントは管理者向けのセミナーや研修によってスキル向上が期待できます。マネジメントは幅もレベルも大変広いので、足りないスキルに応じて適切な研修を受けるのが良いでしょう。

資格取得を目指す

マネジメント能力に関する資格試験は下記のように色々あります。資格取得のための勉強を通し、マネジメントに関する知識やスキルを得ることができます。

  • 中小企業診断士:中小企業の経営課題に対応するための診断や助言を行う専門家
  • 経営学検定試験:経営に関する基礎的・専門的知識や、その応用能力としての経営管理能力や問題解決能力が、一定水準に達していることを証明する試験
  • ビジネスマネージャー検定:あらゆるマネージャー(管理職)が共通して身に着けておくべき重要な基礎知識を効率的に習得できる検定試験
  • PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル):プロジェクトマネジメントに関する経験、教育、知識を測り、プロフェッショナルとしての確認を目的として実施
  • メンタルヘルス・マネジメント検定試験:労働者の心の不調の未然防止に必要な知識を習得するための資格
  • キャリアコンサルタント:学生、求職者の職業選択だけでなく在職者に対しても能力開発に関する相談、助言を行う専門職
  • 社会保険労務士:労働、社会保険の問題の専門家

まとめ

マネジメントを成功させるには、マネジメント能力を高めることが非常に重要です。この記事では以下の点について解説しました。

  • マネジメント能力とは
  • マネジメントにはどんな能力やスキルが必要か
  • マネジメント能力が高い人と低い人との違い
  • マネジメント能力を身につける方法
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