転職時に求められるマネジメント経験の程度はどれくらいか 役職経験なしでもマネジメント職に応募できるのか

応募したいと感じる魅力的な求人には、【マネジメントスキル必須】【マネジメント経験があることが望ましい】などと書かれていることがよくあります。実はこの「マネジメント経験」や「マネジメント能力」は、企業によって指している内容がかなり異なります。このように非常に曖昧な言葉なので、求職者は、自分に応募資格があるのか、要件を満たしているのかわかりにくく、次々と疑問が湧いてくるでしょう。この記事では、マネジメント経験に関するそんな疑問について解説します。

  • マネジメントとは何か
  • 求められるマネジメント能力とマネジメント資格とは
  • マネジメント経験として役職は必須か
  • 転職活動における書類選考や面接でどうアピールすればよいのか
目次

マネジメント経験とは

マネジメントとはどんな仕事

マネジメントとは、簡単にいうと、後輩、部下、メンバーをまとめ、進捗管理をする管理業務のことです。「メンバーの育成・指導・評価」「モチベーション管理」「人員管理・売上管理」などが代表的な業務です。しかしながら、メンバーの人数や管理業務の具体的な仕事内容に関して明確な定義はありません。

なお、マネジメントと混同しやすい言葉に「リーダーシップ」というものがあります。マネジメントは組織を「管理する」能力で、リーダーシップは組織の先頭に立ち全員を「導く」能力です。マネジメントの範疇でも、チームをまとめ牽引していくリーダーシップが求められる状況があります

マネジメント経験は転職に有利

新卒の社員がいきなりマネジメントを任されることは、まずありません。現場での実務や経験が、組織のメンバーを指導するにあたって必要なためです。そのため、一般企業では、30代半ばになる頃からマネジメント能力が求められることが多いです。しかしIT業界のように、市場の変化が激しく従業員の年齢層が若い業界では、20代中盤あたりで既にマネジメント能力を発揮している人が少なくありません。

マネジメント経験がある人材への需要は多く、転職活動においてはマネジメント経験は有利です。その背景には、次の2つの理由があります。

人材不足による需要

現在、社会全体で人材不足が起きています。特に市場の変化が激しいITのような業界では、マネジメントできる人材が不足しています。ITや関連する業界でプロジェクトマネジメントの経験を積んだ人の需要は、転職市場において高まる一方です。

即戦力としての需要

中途採用自体が、即戦力を求めていることがほとんどです。豊富な実務経験と高いコミュニケーション能力が必要とされるマネジメントの経験者は、即戦力として需要があります。

転職時に求められるマネジメント能力、履歴書に書けるマネジメント経験とは

求人においてマネジメント経験が要件となっている場合、次のような点がわからず悩む方もいるでしょう。

  • どの程度のマネジメント経験やマネジメント能力を意味しているのか
  • 役職経験がない場合は応募できないのか
  • マネジメント資格やプロジェクト経験は必要か
  • アルバイトでのリーダー経験はマネジメント経験にならないのか

この不明瞭な混乱は、企業や募集しているポジションによって「マネジメント」の意味や、応募者に期待する能力、役職名、各役職の裁量権がバラバラであるために起こります。

マネジメント経験に該当する職種一例

チームリーダー

プロジェクトリーダー

マネージャー

コンサルタント

課長

部長 

上記のような役職がマネジメントを担う「マネージャー」ですが、役職がついていなくても日常的に、目標設定をしてヒト・カネ・モノを管理したり、教育・育成に携わる業務を行っていれば「マネジメント経験」があると言えます

求人で求められているマネジメント経験とは

企業によってバラバラと言われてしまうとますます、自分が応募要件に該当しているかどうかがわからなくなってしまうかもしれません。求人で求められているマネジメント経験をどのように読み取れば良いのか、その基準を紹介します。

マネジメント経験必須

「メンバーの育成や評価に携わった経験を持つ人」でなければならないということですから、管理職としての人材を探していると考えられます。応募する職種が、すぐにチームを率いるポジションであれば、即戦力が求められています。そうでなければ、将来的な管理職候補として、ポテンシャルを見ているので、経験は多くなくてもメンバーの育成や評価、数字に責任を負った経験が評価につながるでしょう。

〇年以上のマネジメント経験必須

具体的な役職名や業務内容が明示されているのであれば、企業が求める明確な人物像があります。それに合致することを示すある程度の成果を、これまでの経歴で達成している必要があるでしょう。ここで知っておきたいことは、〇年以上と書かれていても、年数よりも求められている職位と同等の経験が優先するということです。また、補佐ではなく自身が責任を負っていたことが重要視されます。

マネジメント経験があればなお良し

マネジメント経験は必須ではなく、将来的に任せられる人材を求めているケースです。マネージャー経験の代わりにリーダー経験などでも、あればアピール事項になります。

マネジメント経験が「必須」であろうが「あればなお良し」であろうが、企業が最も重視するのは、次の2つです。

  • どんな経験をしてきたのか
  • リーダーとしての資質

なので下記のような経験や資質があれば、役職経験はなくても、応募して採用される可能性は十分にあります。

  • チームを率いた経験、リーダーシップ
  • スタッフ(後輩など)の教育や指導の経験
  • プロジェクト(プロモーションやイベントも含む)のリーダー経験
  • 店舗の運営・管理経験

企業の正社員の役職者と限定して考えずに、スタッフ、アルバイト、仕事以外の活動などにおいて、このような経験がある人は少なくないのではないでしょうか。そのままではマネジメント経験としてアピールするには弱くても、それらの経験プラス、今後マネジメントとしてどのように働いていきたいかをしっかり伝えることができれば、テクニカルスキルとポテンシャルとして評価される可能性があります。

チームの規模によって求められるスキルは異なる

マネジメントするチームが少人数か大人数かによっても、求められるスキルは大きく異なります。

少人数のマネジメント

少人数のマネジメントは、一人一人のチームメンバーの個性を把握できます。そのため、的確に指示が出せます。一方で、細かく指示出しや管理をすることになり、多数をマネジメントするより仕事量が増える場合もあります。

多数のマネジメント

メンバーが100人を超えるなど大人数をマネジメントする場合は、一人一人の顔を覚えて指示を出すことは非効率です。サブ・マネージャーまたはリーダーなどをおいて、間接的に管理します。この場合マネジメントがやるべきことは、直接の指導ではなく、目標設定や下からあげられてくる数字の管理になります。

マネジメント経験が求められる案件に応募する時のポイント

敷居が高く感じられる「マネジメント経験」の一言ですが、既に述べたように、役職経験が浅い、またはなくても、採用される確率は十分にあります。応募するに際し、以下の4点に注力することが大切です。

  • 企業が求めているマネジメントスキルを把握する
  • 自己のマネジメント経験は数字で示す
  • マネジメント経験はPDCAを念頭に置いて伝える
  • コミュニケーションスキルをアピールする

企業が求めているマネジメントスキルを把握する

求人情報などに書かれている仕事内容や応募条件から、企業が求めているマネジメントや人物像を把握します。「チームを率いて…」と書かれていれば、企業は「リーダーシップ」を求めている可能性があります。「スタッフの育成を…」と書いてあれば、指導力のある人材が求められています。企業が何を求めているかが分かれば、自分の経験やスキルの中でそれに近いものを選び、応募書類や面接で積極的にアピールします

求人に書かれている内容では把握しづらい場合は、企業の採用ページやSNSなどに掲載されているマネジメント職の社員インタビューなどが参考になります。また転職エージェントやキャリアコンサルタントの支援を受けるのも、有効です。

自己のマネジメント経験は数字で示す

マネジメントの経験年数、チームの人数、目標の売上金額など、実績を数字で伝える話には、具体性があります。またそのデータを基に、面接官から、立てた目標やミッションのクリアについて苦労した点や達成できたコツなどについて質問を受けることができ、 ひときわ強くアピールすることができます。

マネジメント経験はPDCAを念頭に置いて伝える

応募書類でも面接でも自己のマネジメント経験を伝える時には、相手が臨場感を持って思い浮かべることができるように伝えることが大切です。その一つの方法が数字で具体性を持たせることです。もう一つの方法はPDCAを意識して文章または言葉にすることです。

Plan(計画)

Do(実行)

Check(評価)

Action(改善)

上記、4つのイニシャルを取りPDCAと呼びます。このPDCAを繰り返すPDCAサイクルはマネジメントにおいて基本的で重要な手法です。PDCAを意識して伝えることで、【本当にマネジメントをしていた】という信ぴょう性が生まれます

コミュニケーションスキルをアピールする

マネジメント能力とは統率・指導・管理の3つで成り立っています。マネジメントが上手くいくかいかないかは、組織内の意思疎通がしっかりできているかというコミュニケーション能力や、チーム作りの能力にかかっていると言っても過言ではありません。マネジメントとして採用するということは、自社の人材を預ける人物を採用するということですので、コミュニケーションスキルが高く「メンバーが信頼し、ついていくことができる人物」であることは非常に重要です。

マネジメント経験の価値

役職経験以外でも、マネジメント経験は転職時に重要な要素となります。プロジェクトリーダーやチームリーダーとしての経験、プロセス改善や効率化の取り組み、コミュニケーションと調整能力、自己学習と成長への意欲などが評価されるのです。役職経験以外のマネジメント経験の価値とアピール方法を探っていきましょう。

プロジェクトリーダー経験

プロジェクトリーダー経験は、リーダーシップと組織能力を発展させる貴重な機会です。プロジェクトの計画から実行、監視まで、全体の進捗や目標の達成に責任を持ちます。プロジェクトメンバーを指導し、役割や責任を明確化し、効果的なコミュニケーションを確保します。予算やリソースの管理、課題の解決、スケジュールの調整なども担当します。プロジェクトリーダー経験は、問題解決能力、コーディネーション能力、優れた意思決定力、ストレス管理能力などを養います。また、チームの協力と協業を促進し、目標達成に向けてメンバーをサポートします。プロジェクトリーダー経験は、マネジメント職において貴重な資格となります。

チームリーダー経験

チームリーダー経験は、協調性とリーダーシップ能力を養う重要な経験です。チームメンバーの指導やモチベーション管理、タスクの割り当てと進行管理を担当します。チームの目標達成のためにメンバーの強みを活かし、協力関係を築きます。チームメンバーのスキルや能力を引き出し、成長を促進する役割も果たします。コミュニケーションの円滑化や意思決定のサポートも重要な任務です。チームリーダー経験により、対人スキル、問題解決能力、時間管理、優先順位の設定など、幅広いマネジメントスキルが磨かれます。チームリーダー経験は、マネジメント職において貴重な経験となり、チームの成功に不可欠です。

プロセス改善や効率化の経験

プロセス改善や効率化の経験は、組織やチームの業務の効率性を向上させるために重要です。既存の業務プロセスを見直し、問題点やボトルネックを特定し改善策を提案・実施します。効率化のためには、データ分析や調査を行い、改善のポイントを把握します。また、チームや関係者とのコミュニケーションを通じて意見やフィードバックを収集し、改善の方向性を決定します。プロセス改善や効率化の経験により、問題解決能力や分析力、プロジェクト管理のスキルが向上します。結果として、生産性の向上やコスト削減などの成果を実現することができます。プロセス改善や効率化の経験は、マネジメント職において高く評価される能力であり、組織やチームの成功に貢献します。

コミュニケーションと調整の能力

コミュニケーションと調整の能力は、マネジメントにおいて極めて重要です。チーム内外のステークホルダーとの円滑なコミュニケーションを通じて、ビジョンや目標の共有、意思疎通を図ります。また、異なる意見や要求を調整し、優先順位を決定する役割も果たします。円滑なコミュニケーションと調整の能力により、チームメンバーのモチベーションを高め、協力関係を構築します。また、計画やスケジュールの調整、リソースの適切な配分など、プロジェクトや業務の円滑な進行にも寄与します。コミュニケーションと調整の能力を持つことで、チームの連携力や効率性が向上し、成果を最大化することができます。

まとめ

今回の記事では、主に「マネジメント経験」を求める案件に応募したい人のために、次の項目を解説しましたが、この記事が皆さんのキャリアのステップアップに繋がることを祈っています。

  • マネジメントとは何か
  • 求められるマネジメント能力とマネジメント資格とは
  • マネジメント経験として役職は必須か
  • 転職活動における書類選考や面接でどうアピールすればよいのか
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