KPIとOKRの違いとは

目標管理のフレームワークとして、KPIOKRがよく知られています。この二つのどちらを取り入れるべきか迷っている会社経営者や担当者もいらっしゃるでしょう。そもそもこの二つの違いがよく分からないという方も少なくありません。この記事ではKPIとOKR、それぞれの特徴を紹介し、徹底的に比較します。

この記事でわかる項目は次のとおりです。

  • KPIとは
  • OKRとは
  • OKRとKPIの違い
  • どちらを選ぶべきか
目次

KPIとは

KPIは「Key Performance Indicator」の略です。日本語にすると「重要業績評価指標」となります。KPIは、組織の最終的な目標であるKGI「Key Goal Indicator」=「重要目標達成指標」を達成するため、その過程を計測する中間指標です。 KGIを達成するために必要で重要な過程を洗い出し、どれくらいの数値でクリアすれば最終的なゴールにつながるか、そしてその数値が達成できているかどうかを計測する指標となります。

OKRとは

OKRは「Objective and Key Result」の略で、意味は「達成すべき目標と達成のための主要な成果」です。OKRは、組織の最重要目標と個人の目標を集中的に一致させる目標管理手法で、アメリカのインテル社で生まれました。

OKRは「Objective(O):目標」と「Key Result(KR):重要な指標」で構成されていて、一つの「O:Objectives(目標)」に対し、数個の「KR:Key Results(重要な達成指標)」があります。

OKRの特徴は、スピード感ある変化に優れていて、従来の計画方法に比べ頻繁に設定・追跡・再評価を行う点です。

近年OKRが新しい目標管理手法として注目されています。GoogleやMetaにおいて、OKRが取り入れられ成功を収めたことから、取り入れる企業が増えています。

KPIとOKRの違い

KPIとOKRの違いを簡単に言うと、KPIはプロセスの進行度合いを図ることに向き、これに対して、OKRは現場のモチベーションを保持することに優れています。またKPIの機能は現在までの業績を可視化することですが、OKRの機能は目的地を明確にすることです。さらに、KPIは部署ごとに実行されますが、OKRは経営者からメンバーまで企業全体に対して用いられます。

この他にも次のような違いがあります。

サイクル期間

OKRは通常、四半期と少し短めのサイクル期間を設定しています。OKRはビジネス環境の変化が激しい業界やベンチャーで積極的に取り入れられて3か月に1度目標を見直すことが推奨されています。KPIにはそのような縛りはなく、最終目標であるKGIに合わせたスケジュールを設定することができます。通常、KGIの期間は、1年と比較的長くなっています。

レビュー頻度

レビューとは最初に立てた目標の進捗を上司と部下の間で確認し、目標の形骸化防止、軌道修正するための面談のことです。OKRは毎週レビューを行います。KPIも比較的頻繁なレビューを行います。

定性的・定量的

OKRは定性的目標と定量的指標の双方を含みます。まず定性的な目標を一つたて、その目標にもとづいて定量的な指標を3~5作成します。一方KPIは「重要業績評価指標」の名のとおり定量的な指標のみになります。

達成水準

KPIの達成水準は100%です。OKRは60%~70%に設定します。OKRは、「組織全体が同じ目標に向かって仕事をし、その目標を通じて成長を促す。それは【挑戦的な目標】を達成するため。」という思想に基づくためです。つまり、達成できるか出来ないか分からない、達成率が70%程度になる難易度で設定することが推奨されています。

KPIとOKR、それぞれのメリット

KPIとOKRについて、それぞれのメリットをまとめてみました。

KPIのメリット

  1. 組織やグループのモチベーションが上がりやすい。
  2. 個人個人の目標が明確になり、取るべき行動が明白になるため、自発的な行動が期待できる。
  3. 評価基準を統一することができるので公平で客観性のある評価が行える。
  4. PDCAを円滑に回すことができる。

OKRのメリット

  1. OKRの目標達成基準は60-70%なので、失敗を恐れずに挑戦的な目標の設定がしやすい。
  2. やるべきことが明確に可視化できる。
  3. 全社員で目標を共有するので、優先事項の判断も円滑に行われやすい。

KPIとOKR それぞれのデメリット

比較するには、メリットだけでなくデメリットも知っておく必要があります。

KPIのデメリット

  1. 目標を意識しすぎてしまう。
  2. 社員へのプレッシャーになる。
  3. 社員の考える力が低下する。

OKRのデメリット

  1. 規模の小さい会社には不向き。
  2. 見直しやフィードバックの時間が多く取られる。
  3. 目標が高いため、必ずしも十分に達成できるとは限らない。
  4. 従来の考え方と異なるため、定着までに時間が必要。

KPIとOKR、どちらを選ぶか

どちらの手法が優れているのか悩んでいる経営者や組織の担当者もいるかもしれませんが、これはどちらが優れているという問題ではなく、自社の目的にあった手法を選ぶことが大切です。今回の目標管理の目的は何なのか、自社の特徴は、そういったものを検討した上で選びましょう。

  • KPI:プロジェクト単位で目標を達成する
  • OKR:組織の戦略実行とプロジェクトの目標達成

KPIとOKRは併用可能か

一つの組織がKPIとOKRを併用することも可能です。目的に応じて、使い分ければより効果的な目標管理が目指せます。組織(企業)全体で大きな目標に向かうならOKRが適しているでしょう。反対に一プロジェクトを遂行、達成したいときに進捗管理をメインに行いたいならKPIが適しています。

MBOとの違い

最後に、OKRと比較されることが多いMBOについても触れておきます。MBOはManagement by Objectives(目標管理)の略語です。重要目標達成指標という意味になります。MBOは目標達成を目指し、その達成率を評価の指標にする目標管理制度です。ゴールに対して何%達成できたかという見方をするので、次の3つのメリットがあります。

  • わかりやすい
  • モチベーションが向上する
  • 結果、能力が向上する

反面、MBOのデメリットとして、年単位で目標設定するため、変化が激しい時代には対応が遅れてしまうという点が挙げられます。またMBOはOKRと異なり、個人あるいはグループ単位で目標を設定するので、人によっては低い難易度の目標を設定してしまうリスクがあります。

MBOとOKRの違い

MBOとOKRの違いを重要な4つの側面からまとめました。

  1. 目的MBOの最終的な目的は、「個人」や「グループ」の人材管理の強化と、業務管理や生産性の向上です。個人個人に合わせた細やかな目標設定に基づき、達成度という指標で評価できます。OKRのは組織全体の生産性を向上させることが目的で個人の評価と連動しません。
  2. 評価制度MBOの評価頻度は半期~1期(半年~1年)です。これは、MBOがノルマ管理や報酬を含む人事評価を重視しているためです。OKRは1か月~四半期(3か月)程度の比較的短期で検証、改善します。OKRは経営戦略など組織全体の目標・方向性ですから、当初の設定が実情と齟齬が生じたときに迅速に軌道修正を図るのです。
  3. 目標の共有範囲:MBOは個人が達成すべき目標ですから、MBOは個人と上司といった小さな範囲で共有されます。OKRは組織全体の方向性を決める目標であり、個々の目標が全社に影響する関係です。そのため、OKRの目標の共有範囲は全社になります。
  4. 目標の達成基準:MBOは人事評価や報酬制度と係わりがあるため、必ず達成すべき目標を設定し、100%の達成率を目指します。OKRは全社的に大きな目標を掲げ、短期で見直しを繰り返す目標管理方法ですから、目標の60%~70%達成できれば成功とされています。

KPIとはどう違うのか

MBOとOKRの違いは理解できたでしょうか。ではMBOとKPIはどう違うのか。これも簡単に説明します。

KPIはゴールを目指すために必要な途中過程を洗い出し、その過程をどのくらいの数値で通過できればゴールが達成できるかという考え方に基づく手法です。MBOとOKRはゴールに対しどこまでできているのかで評価する目標管理方法ですが、KPIは目標のどこまでできているのかを検証するための数値目安・設定です。頑張った結果の点数評価と、ゴールから逆算したポイントごとのノルマといえばわかりやすいでしょうか。MBOとOKRは長期と短期という周期が異なりましたが、一定期間の間の目標を立て評価します。KPIのは、目標を達成するプロジェクトによって期間が変わります。

まとめ

目標達成のため有効な目標管理フレームワークとして上がるのが、KPI、そして最近注目されているOKR、この二つです。しかしながら、両者の違いがわからない、自社でどちらを採用するのが良いか決めかねるといった声は少なくありません。今回はそのような方に向けて、KPIとOKRの違いをわかりやすく解説しました。

OKRはKPIに比べ、短期で、変化を重視する業態や企業に向きます。GoogleやMetaで採用され、成果を出しているというのも頷けます。一方、従来からの日本企業では、やはりKPIが使いやすいという声も多いです。どちらがより適切かは、自社の目標設定が何を目的としているか次第で、どちらかがもう一方より相対的に優れているというわけではないのです。KPIやOKRの設定、マネジメント、改善策の策定、いずれの段階でも、現状や自社の特質についてのリアルタイムかつ正確な分析は必須ですが、この自社分析は、KPIとOKR、どちらの指標を使うかという選択の時点で既に始まっていると言えるでしょう。

この記事でわかる項目は次のとおりです。

  • KPIとは
  • OKRとは
  • OKRとKPIの違い
  • どちらを選ぶべきか
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次