KPIダッシュボードは、経営者が戦略的目標を管理するため、パフォーマンスの変化や課題、傾向を常に最新の状態で把握するための優れたトラッキング方法です。この記事ではKPIダッシュボードが果たす役割、ビジネス上のメリット、作り方などについて解説します。
この記事でわかることは次のとおりです。
- KPIダッシュボードとは何か
- KPIダッシュボードの機能
- KPIダッシュボードのメリット、デメリット
- KPIダッシュボードの種類
- KPIダッシュボードの作り方
KPIダッシュボードとは
KPIダッシュボード(主要業績評価指標ダッシュボード)は、各システムに散在しているデータを一元化し一目で確認できるようにするデジタルダッシュボードシステムです。マネジメントダッシュボードなどとも呼ばれます。よりわかりやすく言うと、重要なKPIをピックアップし、進捗率や達成度合いなどを表示する画面です。コンバージョン率、収益成長率、チャーン率、予算閾値、純利益、シェア・オブ・ボイス(SOV)など、様々なデータビジュアライゼーションが可能です。スプレッドシートの数値だけを見るよりグラフや表などのデータビジュアライゼーションを通したほうが、理解が促進されるというメリットがあります。測定するだけでなく、組織全員が注意すべき情報を表示、伝達、共有できます。さらに、メールマガジンの配信などのスケジュール管理にも役立ちます。コアビジネスの目標、または部門目標に対する全般的な進捗状況を効率的にトラッキングし、深く分析して、ベストな意思決定を助けるので、経営層から管理者、一般社員まで利用可能な管理ツールです。
KPIダッシュボードの機能
KPIダッシュボードには様々な機能があります。代表的な機能は次の5つです。
- 分析:特定の条件を指定し、分析できる。
- チャートやグラフの作成:作成する項目によって、形式を選択できる。資料やプレゼン資料の作成もできる。
- レポーティング:連携しているツールにレポートを出力できる。例えばGoogle関連のダッシュボードではGoogleスプレッドシートにレポートを出力可能。ダッシュボードツールの中には、定期的に自動でレポートを出力してくれるものもある。
- コネクター:反対に外部のツールからダッシュボードにデータを出力でき、手動作業が短縮できる。代表的な外部ツールは、MA、Googleスプレッドシート、CRM、Google Analyticsなど。
- シュミレーション:取り込んだデータを分析し、数字予測ができるため、来季の予算編成、業績予想、株価予想などが可能。
これにより、データが分かりやすく可視化され、経営者からメンバーまで全員で共有でき、打つべき施策を検討しやすくなるのです。
KPIダッシュボードの6つのメリット
KPIダッシュボードには6つのメリットがあります。順にご紹介しましょう。
詳細な掘り下げ
多くの複雑なデータを分かりやすく変換できるKPIダッシュボードは、特定の最も重要な目標を整理し、フィルタリングし、分析および視覚化することができます。
課題の抽出
目標に対しての達成度、優先順位、効果的な是正措置の調査などが可視化されます。
効率的な意思決定
複数の運用データを一ヶ所にまとめることができます。KPIレポートをより「見える化」し、パフォーマンスの分析、目標の設定、投資の割り当ておよびユーザーワークフローの改善を効率的に行えるようになります。
コラボレーションの向上
視覚的に共有されることで、ユーザー間の一体化やコミュニケーションが促進され連携がうまくいきます。
リアルタイムROI分析
組織の最も重要なパフォーマンス指標をリアルタイムで監視および分析する機能があるので、どの意思決定や投資が、どの程度効果を発揮しているのかを確認できます。
新しい機会や傾向の発見
KPIダッシュボードにより、傾向や潜在的な機会、得意不得意分野が明らかになります。これによりKPI改善が捗ります。
ダッシュボードのデメリット
多くのメリットがあることはわかりましたが、ではデメリットは何でしょうか。デメリットについても理解した上で、KPIダッシュボードの導入を検討したいものです。デメリットは大きく分けて次の二つです。
- データ分析に関する知識のある人材が必要
- ダッシュボードツールを導入する費用
ダッシュボードは、データを整理し誰が見てもわかるように可視化してくれます。しかしそのためには、どのデータが関連しているのかしっかりと読み取り、ダッシュボードに入力できる人が必要なのです。どのデータを比較するべきか、このデータについて分析が必要だ、そういった判断は人間がやらなければなりません。このような人材が自社にいない場合は、育成するか、外注するかの判断を迫られることになります。便利なツールも使いこなせる人がいて初めてその能力を発揮できるということです。
ダッシュボードツールの多くは有料です。さらに自社に合わせたシステム開発をするのであれば、多額のコストがかかります。クラウド型であれば、月額や年額の使用料はかかりますが、比較的コストを抑えられるでしょう。
本当に使えるKPIダッシュボードのポイント
KPIダッシュボードは次のようなものであることが望ましいです。
- すべての重要な目標と情報は、ユーザーの事例(部門、プロジェクトなど)に応じて明確に表示されている
- 色、グラフィックなど視覚的一貫性がある
- 重要な指標を強調するため、フォント、ヘッダーなどが効果的に使用されている
- 適切なアクションへ導くためのボタン、リンクなどが効率的に備えられている
- 必要な情報だけを表示し、認知的過負荷を発生させない
業務別KPIダッシュボード
KPIダッシュボードがどのように活用されているか、業務別に紹介します。
セールスのKPIダッシュボード
売上管理のKPIダッシュボードは、受注額と総売上だけでなく、製品、地域、顧客毎のパフォーマンスまで管理すると、課題や問題を早期発見できます。データをマッピングすることで、地図上で特定範囲のエリアの売上を比較することもできます。
マーケティングのKPIダッシュボード
Google AnalyticsやCRMなどのマーケティングデータを統合することができます。サイトの訪問数、コンバージョン率、前月比などはもちろん、性別、年齢層、地域、検索キーワード別のユーザ数を確認し、マーケティング活動の改善を可能にします。
人事のKPIダッシュボード
勤怠管理のKPIダッシュボードでは、指定範囲内の社員の出退勤や有給休暇取得状況などを可視化できます。
財務のKPIダッシュボード
KPIダッシュボードに収入、利益、回収金額、収入構成など、企業の財務状況を示す指標を表示することで、全体像可視化されます。 またすべての指標はデータベースとともに自動更新するので、業務システムから抽出し加工する手間もありません。
KPIダッシュボードの作り方
KPIダッシュボードの作成手順についても解説しておきましょう。ここで流れを頭に入れておくことで、実際にKPIダッシュボードを作成するときに理解しやすくなります。
手順1:データ接続
まず用意されたデータに接続します。Excelなどでデータ管理している組織は多いと思いますが、そのファイルのデータを読み込みます。
手順2:レイアウト設計
KPIダッシュボードを新規作成します。空白のキャンパスにグラフ、地図、表、絞り込みウィジェットなど必要なものをドラッグ&ドロップします。
手順3:グラフ・地図作成
KPIダッシュボードの「一目でわかる」メリットを最大限に活かすためには、データの特性に合わせたグラフと地図を作成することが鍵です。データと紐づけ、配色を設定します。
KPIダッシュボード作成のポイント
KPIダッシュボードはあらゆるデータを集め全体像を一目で把握できるようにするものですから、作るときは、次の3点についてよく考えて行うことが大切です。これによって、有用なKPIダッシュボードが作成できます。
- 作成目的を明確にする。何を見たいのか、はっきりさせる。
- その目的から、盛り込むべき指標を精査する。
- 適切なレイアウトや表現を選ぶ。
KPIダッシュボードツールについて
KPIダッシュボードの作成ツールとして最も知られているのは、皆さんお馴染みのExcelです。Excelではデータを集計やグラフ作成が可能です。KPIダッシュボードのデータ量が少なく、個人での作業が多いのであれば、Excelが使いやすいでしょう。しかしデータが膨大である場合は、大容量で複数のデータソースの統合・分析に向いているツールを導入するのがおすすめであり、多くの企業が取り入れています。
まとめ
今回はKPIマネジメントをより効率的に行うためのツールであるKPIダッシュボードについて解説しました。KPIダッシュボードは、グラフや地図などを用い、データをよりわかりやすく可視化することです。耳慣れない言葉のため、構えてしまった方もいるかもしれませんが、実は日々の業務で既に取り入れています。Excelでのグラフ作成などが正にKPIダッシュボードの簡易版なのです。しかしながら扱うデータ量が膨大になれば、複数のデータソースからデータをまとめて、簡単に効果的にグラフや図を用いてビジュアライゼーションできる専用ツールがおすすめです。
この記事でわかることは次のとおりです。
- KPIダッシュボードとは何か
- KPIダッシュボードの機能
- KPIダッシュボードのメリット、デメリット
- KPIダッシュボードの種類
- KPIダッシュボードの作り方
コメント