営業におけるKPIの設定方法と目標達成のポイント

KPIについては、これまでも何度も取り上げてきましたが、今回は営業におけるKPIについて深く掘り下げてみたいと思います。営業は売上という数字目標を達成するため、個人個人、そしてチームが、自らの数値目標に向かって取り組みます。そのため、KPI分析に向いている職種だと言えます。

しかしながら現実には、昭和的な根性論や曖昧な目標が飛び交っていることも少なくありません。「売上を最大限にしろ」「もっと粘り強く営業しろ」「モチベーションを上げろ」…これだけでコンスタントに成績が伸びて組織が強くなり続ければ良いのですが、まず無理です。本質的な強化や成長のためには、具体的・論理的・合理的に改善することが必要だからです。営業における適切なKPIの設定は、正にこの具体的で論理的、そして合理的な指標と業務改善です。この記事では次の項目について解説します。

  • 営業のKPIとは
             
  • KPIの策定方法と重要なポイント
             
  • 営業のKPI例
             
  • KPIツリーとは
             
  • KPIツリーの必要性
目次

営業部門におけるKPIとは

Business meeting concept. Group of businessperson in office. Presentation. Conference.

KPI自体は、企業の営業部門だけでなく、開発、製造、人事、マーケティングや政策まで、さまざまな機関や場面で使われています。KPIとはKey Performance Indicator(重要業績評価指標)のことで、最終目標であるKGIをゴールとした場合の、プロセス(途中経過)上に設定する中間指標です。KPIによって、今、どこまで達成できているかという達成度がはっきりとわかります。

営業の場合は、KPIとして、「新規契約数」「売上高」などを設定することが多いです。わかりやすい例を挙げましょう。

  • 今月は、新規契約を20件取るために、200件の電話営業をしよう
             
  • 今期末までに、売上1000万円を達成するため、毎月前半に5社へ提案をしよう

KPIを設定すれば、目標と現状のギャップを埋めるために、「いつ」「どんな行動」を、「どれだけ」すれば良いのかが明確になります。

  • 何をすれば良いのかが明確になる
             
  • 営業活動の進捗が把握しやすくなる
             
  • 未来の予測も根拠をもって立てやすくなる
             
  • PDCAが回しやすくなり、生産性の向上や、効率化の改善ができるKPIとKGIの違い

KPIとKGIの違い

KPIについて考えるときに必ず出てくるのがKGIです。混同されがちですが、KGIは、「Key Performance Indicator(重要業績評価指標)」の略で、最終目標の達成度を示す数値指標です。KGIはゴール、KPIはプロセスを表す指標という点で、別ものですので、ここはしっかり理解しておきましょう。最初にKGIで「ゴール」を設定し、そこまでの「プロセス」としてKPIを設定します。

KPIの設定方法

KPIを適切に設定する方法を解説します。

KGIを設定する

KPIを設定するとなると、経験のない人は、他社の事例をそのまま当てはめようとすることがあります。しかし業界、企業によって、同じ営業でも組織構造が異なりますので、他社のKPIをそのまま持ってきて自社に当てはめることはできません。とはいえ、この記事で解説するKPIの設定方法に従い、KPI設定のポイントを押さえ、検証と改善を繰り返せば、自社に最適なKPIを作り出すことは難しくありませんのでご安心ください。

最初に必要なことは、最終目標であるKGIの設定です。KPIはあくまでもKGIの実現のために設定する中間目標です。KPIの達成そのものは目的ではありません。しかしながらKPIの設定タスクが目的化してしまっている企業は少なくないのです。このようにならないためには、KPI設定の目的=上位目標であるKGIの実現ということをしっかりと理解しましょう。

営業プロセスを分析する

営業がよく使用するKPIとして挙げられるのは、次の項目です。

コンタクト数
商談数
見積件数
成約件数
平均受注額

しかしこれはあくまでも一例です。どの企業も同じKPIとは限りません。自社にとって最適なKPIを見つけ出すことが必要です。そして次の2つのポイントをしっかりと押さえましょう。

  1. 営業活動によってコントロールできる指標であること
             
  2. シンプルかつ普遍的な指標であること

営業担当者がコントロールできる指標にする

当然のことですが、営業を行う当の個人がその営業活動によってコントロールできないことを、KPI指標に設定するのは無意味です。偶然達成できてもできなくても、営業担当本人がKPIに対し変化を起こせないのですから、要因分析も改善も不可能です。

そして営業においては、必ずそのようなコントロールできない部分や、数値化できない業務も存在します。そういうものは中長期的、または間接的に組織を強化したり顧客との関係を構築するものも多いので、KPIのみならずそういった業務や側面も考慮する必要があります。KPI数値のみを追っていては、公平な評価は難しく、従業員のモチベーションを下げるリスクがあることも理解しておきましょう。

シンプルかつ普遍的な指標であること

上記で述べたように、定性的な要素もしっかりと考慮することが大切ですが、KPI自体は定量的な指標ですので具体的な数値であることが必須です。例えば「顧客第一主義」といったように、数値で可視化したりはっきりと計測することが難しいものは、そのままではKPIにはできません。「粘り強い営業」などもそうです。個人個人の感覚によって、評価や採点がブレたり、故意に「よく見せることができる」リスクがあるものはKPIにふさわしくありません。

営業でよく使われる基本的なKPI一覧

  • 新規リード獲得数:広告や、各種販売活動やマーケティング活動によって獲得した見込み客の数
             
  • 有望見込み客数:新規リードに対して営業活動を行い、確度が高いとみなすことができる見込み客の数
             
  • 有望見込み客転換率:新規リード数から有望見込み客数への転換率
             
  • 有望営業機会数:有望見込み客が成約につながった件数
  • 有望営業機会化転換率:有望見込み客数から有望営業機会数への転換率
             
  • 新規顧客数:成約に至った新規顧客の数
             
  • 新規顧客化転換率:新規の有望見込み客数から有望営業機会数への転換率
             
  • 平均新規顧客単価:新規で獲得した顧客から発生した平均顧客単価
             
  • 新規顧客売上:新規で獲得した顧客から得た売上
             
  • 平均既存顧客単価:既存の顧客から発生した平均顧客単価
             
  • 既存顧客売上:既存の顧客から獲得した売上
             
  • リードタイム:営業担当者がリードに初めて接触(商談、リード獲得)した日付から顧客化(受注)までに要した日数
             
  • 解約件数:既存顧客の解約件数
             
  • クレーム数:既存顧客からのクレーム件数

PDCAを回す

KPIは策定して終わり、一度遂行して終わりではありません。実際にKPIを遂行しても成果が出なかったり問題が起こることは多々あります。これを改善するのがPDCAサイクルでいうところのCとAです。PDCAというのは、次の頭文字からできている言葉です。

Plan(計画)

Do(実行)

Check(評価)

Act(改善)

このサイクルを回すことによって、計画をより適正で有効なものにし、確実に成果を出し成功へと近づいていくことができます。CとAはおざなりにされてしまっているケースが少なからず見受けられますが、これを防ぐには定期的に振り返りの機会を設けることが有効です。

上司とメンバーが定期的に面談を行うなどすることも勿論ですが、その面談が表面的なものにならないようにするためにも、またメンバー本人が日々、自分が正しくKPIを行えているか、進捗度も含め意識できるような体制が重要です。そのために組織ができることとしては、営業がKPIを記録しやすい環境を整えるのが良いでしょう。KPIを策定するだけでなく、正確な数値をきちんと記録することで、KPI分析・管理を適切に行うことができます。しかし営業担当者は、成績に直結するコア業務に追われて、事務作業に割く時間が取りにくいという問題があります。ですから営業の負担にならないようなシンプルな入力項目でKPI管理できるようにしましょう。

営業のKPI(ロジック)ツリーについて

KPI分析をより効率的に行う助けになるのが、ロジックツリーです。ロジックツリーとは、問題についてツリー状の図上で分解し、原因や解決策を論理的に探すフレームワークです。問題と解決策をつなげたその図が木のように見えるため、ロジックツリー、または論理の木と呼ばれています。このロジックツリーは問題解決プロセスのフレームワークとして使われていましたが、今はKPIの場面でもKPIツリーとして活用されています。KGI(最終目標)を頂点に、KPI(中目標)やその中目標を達成するためのより細かいKPI(小目標)をつなげていきます。

ロジックツリーのメリット

ロジックツリーを営業のKPIマネジメントに取り入れるメリットは大きいです。従来、我が国の多くの企業では、営業部門は経験や勘といった個人のスキルや人間力といった曖昧なものを頼りに活動する傾向が強かったのですが、社会、ビジネス、顧客の変化、具体的にはIT化、グローバル化、多様化、複雑化などを受け、限界が見えてきました。顧客は自ら情報を収集し比較できるので機能、価格ともに競合を上回っていることが成約の前提となっており、企業側は差別化を図るためより個々の顧客のニーズを満たす“One to Oneマーケティング”を行わなければなりません。また成約率を上げるには、購買意欲の高い顧客の集客も必須です。営業は「足で稼げ」「ツテやコネを活用しろ」といった従来のスタイルでは非効率で成果に繋がりにくいのです。このような精神論、根性論では多様化する人材を上手く活用することができません。ところがロジカルに適切なKPIを設定することによって、具体的な行動が起こしやすくなり、効率的に成果を出すことができます。KPIツリーとKPIマネジメントで、収集データを適切に分析し、課題・問題をあぶり出し、解決策・対策を明らかにする。このようにKPI(ロジック)ツリーは、営業で積極的に取り入れられるようになっています。

まとめ

今回は営業部門のKPIに的を絞って解説しました。KPIマネジメントは、複雑化するビジネス環境を乗り越えるために必要な手法として多くの営業で取り入れられています。このKPIマネジメントをさらに効率化するのがロジックツリーです。従来の勘や経験に頼った営業スキルから、論理的な分析に基づいたKPIにシフトすることで、より効率的な営業活動と、公平な評価が可能になります。

この記事では次の項目について解説しました。

  • 営業のKPIとは                           
            
  • KPIの策定方法と重要なポイント
             
  • 営業のKPI例
             
  • KPIツリーとは
             
  • KPIツリーの必要性
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