数値化できないKPIの問題について 数値化できない時はどうすれば良い?

「KPIは定量的、すなわち数値化できる指標(中間目標)でなくてはならない」と、何度も聞いたことがある人も少なくないでしょう。最終ゴール(KGI)達成のために必要な要素であるCSFを抽出し、それを数値化してKPIとして設定するのが基本です。しかし、実際には、数値化しにくいことがあります。とはいえ、KPI設定の成功法則と呼ばれるSMARTの法則でも、明確に数値化しなければならないとされています。数値化しなければ、進捗や達成度が客観的に把握しづらく、KGI達成に影響を及ぼす可能性があります。KPIの数値化が難しいと感じた場合の対処法を知っておきましょう。

この記事でわかることは次のとおりです。

  • KPIを数値化するメリット
             
  • KPIを数値化できないとどのような問題があるのか
             
  • KPI設定時に目標を数値化できなければどうすれば良いか
目次

KPIを数値化するメリット

KPI設定において目標を数値化するメリットは次のとおりです。

従業員の行動指標となる

目標を数値化すると、従業員が「何を」「どれだけ」すれば良いかがより明確になります。ゴールの数値が可視化されると、そこに至るまでの流れも可視化され、「いつまでに」「何を」「どれだけ」というように計画を立てやすくなります。このように行動指標が明らかにされていれば、従業員は行動に迷いがなくなり、必要な行動を集中的に行うようになります。結果、労働生産性が向上し、業務効率化につながります

評価基準の統一化

KPIの達成・未達成や達成度は、チームや従業員の評価材料となります。目標が数値化されていれば、成績や実績に対し、公平で適切な評価を下せます。評価基準が統一化された明確・公平なものであれば、従業員の納得も得られます。

適切で効果的なPDCAサイクル

KPIを達成するためには、PDCAサイクルを回す必要があります。PDCAサイクルとは次の4つの頭文字を取った言葉です。

  • Plan(計画)
             
  • Do(実行)
             
  • Check(測定・評価)
             
  • Action(対策・改善)

これは業務改善の基本的な考え方です。KPIを策定し実行したら、その達成度や進捗をしっかりと測定し、進捗に問題があれば原因を考え生じた場合、なぜ目標を達成できなかったのかを考え、必要な修正や改善をする必要があります。目標を数値化していれば、修正や改善が必要なポイントや程度を見極めやすく、迅速な対応ができます。

KPIを数値化できないとどのような問題があるのか

目標を数値化できないままKPI設定を行うと、次のような問題が起こります。

行動計画を立てにくくなる

数値目標の良いところは、達成するためには何をどれくらい行えばよいか逆算できる点です。例をあげましょう。

売上を前年比200%にしたい。

過去のデータから、そのためには顧客を1000名増やす必要がある。

顧客を1000名増やすには、問い合わせ数は…

このように逆算していくことで、確実性の高いKPIを設定できるのです。反対に取るべき行動、達成するべき数値がはっきりしないと、従業員も行動しづらくなります。

KPI見直しの基準が不明確

KPIは最終目的であるKGIをゴールに据えて、逆算して数値を設定していきます。しかし、あくまで計算ですので不測の事態により、予定どおりに進まないことがあります。その場合、KPIの見直しが必要となりますが、数値化されていないと問題が起きていることに気付き辛くなります。KPIを見直すべきかそうでないのか、判断も難しくなるため、見直しの必要性を見逃したり対応が遅れてしまうことがあります。

従業員のモチベーション維持がしにくい

目標を数値化すると、進捗度や達成度も具体的な数字で可視化できます。その数字の増加は、従業員のモチベーション維持となり、生産性を向上させます。達成しているかどうかわからない、自分たちがやっていることに何の意味があるのかわからないといった状態では、モチベーションは低下しやすくなります。企業が目標を達成するためには、従業員のモチベーションや自発的な行動が非常に重要ですので、KPIはこの面からも有効なのです。

KPI設定時に目標を数値化できない場合、どうすれば良いか

さてここまでで、KPIを数値化するメリットや、数値化できない場合のデメリットを紹介しました。ではもし、KPI設定時に目標を数値化できなければどうすれば良いでしょうか。実際に企業が掲げる目標の中には、顧客満足度、サービス品質、企業・ブランドの認知度といった数値化しにくいものが存在します。このようなものは数で計測することはできません。しかし、数値化しにくいこのような目標も、なるべく定量化していく必要があります。このジレンマを解消する方法について解説します。

管理部門のKPIは数値化できないと感じることがある

売上など数値化しやすい目標を掲げる営業部門に比べて、管理部門は数値化できないケースが少なくないと言われます。その理由は業務内容や業務フローの違いにあります。それぞれの業務フローを比較してみましょう。

【管理部門の業務】

  • 施策や行動
             
  • 行動の結果
             
  • 成果

【営業部門の業務】

  • アポイント獲得
             
  • 商談、受注
             
  • 売上、利益

つまり営業の場合最終的に達成したい売上や利益が数字なのです。ところが管理部門の成果は、簡単に数値化できないことがあるのです。例をあげると人事管理部門の「人材の有効活用」、「企業理念の理解」などです。何をもってこれらが達成できたか数字で表してみなさいと言われても、戸惑うのではないでしょうか。

数値化できないと感じるKPIを数値化する方法3つ

では具体的に、そのような目標をどうやって数値化するのか、その手法を紹介します。

数値化できるかできないかから離れ、まずそのKPI目標の定義を考える

目標を深堀りする手法です。その目標を達成するということはどういうことかを考えます。

  • 達成後の状況
  • どの指標の数値が上がるか
  • またはどの指標の数値が下がるか

これらを定義します。このような手法を取れば、管理部門によくある「浸透」「理解」「感情」「認知」といった定性的な目標も、変化に着目し数値化できる可能性が高いです。例を挙げましょう。

  • ユーザーのレビュースコアが4.5以上
  • 研修後のチェックテストで70点以上

このように数字を含ませることで、数値化できないように思われたKPIも数値化することができます。

プロセスやアウトプットをKPI目標に設定する

KPIを数値化しにくいと感じたときには、プロセスやアウトプットを目標とする方法もあります。わかりやすく言うと次のようなものがプロセスやアウトプットです。

  • 行動量
  • 試行回数
  • 制作物

もっとわかりやすい例を出しましょう。

  • 社員に企業の現状と戦略がわかるようなメルマガを月2回送り読んでもらう
             
  • 企業の目標に繋がる研修を半年に1回受講させる

この視点でKPIを設定すれば、数値化できないように思えたものも案外簡単に数値化できます。目標達成に必要な行動と目標達成後の影響、つまりプロセスとアウトプットに分けて、もう少し詳しく解説します。

【1 目標達成にどのような行動が必要か】

目標そのものが数値化できないときは、その達成のために何をする必要があるかにまず着目します。顧客満足度を向上させるため、サポートスタッフのスキルアップが必要だと考えるなら、例えば次のような行動が思い浮かぶでしょう。

  • 研修やトレーニング
             
  • FAQに対応できるウェブサイトや自動チャット導入によるスタッフ対応案件の絞り込み
             
  • 問い合わせ1件あたりの所要時間短縮
             
  • マニュアルの見直し
             
  • 対応業務範囲の見直し
             
  • 顧客フィードバックのスコア目標

このように考えられる行動のうち数値化できるものはたくさんあります。

【2 目標達成後の影響を数値化する】

当該目標そのものを数値化せずに、それが達成されたとしたら何が起こるかに着目する方法もあります。例えば顧客満足度が上がれば、リピート率が向上するでしょう。

まとめ

KPI目標のしっかりとした数値化には、従業員の行動を促す、労働生産性が向上する、評価基準が統一される、PDCAサイクルが適切に回せるといった数多くのメリットがあります。しかし管理部門を中心に、KPI設定したいが目標が数値化できないという問題が起きることがあります。そんなときは、KPIを諦めたり、定性的なまま目標として設定したりするのではなく、視点を変えてみましょう「KPIは数値化する」これは鉄則です。なぜなら目標を明確な数値で表さなければ、有効性のある行動計画が策定できなかったり、公平な評価ができなかったりと、非常に深刻な問題を引き起こし、目標達成が困難になるばかりでなく、従業員のモチベーション低下といった悪影響があるからです。顧客満足度や企業理念の浸透度など数値化するのが難しいケースでは、この記事で解説した手法を用いて定量化に努めましょう。

この記事でわかることは以下のとおりです。

  • KPIを数値化するメリット
             
  • KPIを数値化できないとどのような問題があるのか
             
  • KPI設定時に目標を数値化できなければどうすれば良いか
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