コールセンターのKPIを紹介 種類・目安数値・注意点まで

様々な組織や部門で取り入れられているKPIですが、コールセンター業務ではどのような数値をKPIにするべきでしょうか。今回はコールセンターで重要なKPIを、目安となる数値や、設定・運用上の注意点とともにご紹介します。

この記事でわかることは次のとおりです。

  • KPIとは
            
  • KPIのメリット
            
  • SMARTの法則
            
  • コールセンターのKPIにはどのような種類があるか
            
  • コールセンターのKPIの数値目安
            
  • コールセンターでKPIを設定・運用するときの注意点
目次

KPIとは

KPIは「Key Performance Indicator」の略語です。日本語にすると「重要業績評価指標」となります。ビジネスの最終目標であるKGIを達成するには、その過程で達成度をチェックしたり、現状やビジネス環境と齟齬が生まれていないか確認する必要があります。そのときに指標として用いられるのがKPIと呼ばれる数値です。

KPIを設定するメリット

KPIにはいくつかのメリットがありますが最も重要なことは、KPI設定によって最終目標までの進捗状況が可視化され、改善へ向けて取り組みやすくなることです。

SMARTの法則

KPIを設定する際には下記の「SMARTの法則」に則って設定することが、成功のカギです。

  • 「Specific」:具体的であること
            
  • 「Measurable」:測定可能であること
            
  • 「Achievable」:達成可能であること
            
  • 「Related」:最終目標と関連があること
            
  • 「Time-bounded」で:期限を定めること

コールセンターの応対品質に関するKPI

コールセンターにも様々な種類があります。まずその中でも応対品質に関するKPIをご紹介します。

応答率

応答率とは、着信に対しオペレーターが対応した割合のことです。計算式は次のとおりです。

「対応件数÷着信件数 」

着信件数が1,000件、対応件数が500件であれば、応答率は50%です。このように応答率が低いことは一般的に、着信件数に対しオペレーター数が足りていないという意味になります。

放棄率(放棄呼率)

放棄呼とは、オペレーターが対応する前に切れたコールを指します。英語では、「アバンダンコール」といいます。放棄呼率は、着信に対する放棄呼の割合のことですが、計算式は次のようになります。

「放棄呼数÷着信件数」

着信件数が1,000件、放棄呼数が100件の場合、放棄呼率は10%です。

サービスレベル(SL)

コールセンター業界のサービスレベル(SL)とは、設定時間内にオペレーターが対応した割合のことです。系サイン式は次のようになります。

「設定時間内の対応件数÷着信件数」

着信件数が1,000件、設定時間が15秒、設定時間内の対応件数が700件の場合、着信から15秒以内のSLは70%です。

平均応答速度(ASA)

平均応答速度(ASA)とは、着信から応答までにかかる時間の平均です。ASAが長いほど、顧客を長く待たせているということです。計算式は次のようになります。

「応答までの時間の合計÷着信件数」

着信件数が1,000件、応答までの時間の合計が10,000秒の場合、ASAは20秒です。

コールセンターの顧客満足度に関するKPI

次に顧客満足度の指標となるKPIをご紹介します。

顧客満足度(CS)

顧客満足度(CS)とは、商品やサービスに対して、顧客の満足感がどれくらいかを表す指標です。顧客満足度は顧客へのアンケート調査から算出します.

顧客推奨度(NPS®)

顧客推奨度(NPS®)とは、企業やブランドに対する顧客の信頼度や愛着度を示す指標です。顧客ロイヤルティともいいます。これも顧客へのアンケート調査で計測します。0~10の数値で回答してもらい、「推奨者(9、10)」「中立者(7、8)」「批判者(0~6)」に分類した上で、推奨者の割合から批判者の割合を引けば顧客推奨度が算出できます。

コールセンター業務が効率的に行われているかの指標

次の指標は、業務効率化の効果を把握するためのものです。

稼働率

稼働率とは、オペレーターが、労働時間のうちどれだけの時間を顧客対応にかけたかを示す指標です。計算式は次のようになります。

「(応対時間 +保留時間+後処理時間+待機時間)÷労働時間」

離席時間は労働時間から除きます。稼働率が高いほど、オペレーターは効率的に業務遂行しています。しかし稼働率は高ければよいというものではありません。稼働率が100%に近づくと、オペレーターは休む暇もなく電話対応を行っていると考えられるため、過剰な業務負担をかけている可能性があります。

平均処理時間(AHT)

平均処理時間(AHT)は、通話や後処理を含め顧客対応にかかった時間の平均で、計算式は次のようになります。

「平均通話時間(ATT)+平均処理時間(ACW)」

平均通話時間(ATT)

平均通話時間(ATT)とは、顧客との通話時間の平均です。計算式は次のようになります。

「通話時間の合計÷総コール数(対応件数) 」

案件や顧客ごとに差が出やすい項目な点に注意しましょう。

平均後処理時間(ACW)

平均後処理時間(ACW)とは、通話後の後処理にかけた時間の平均です。計算式は次のようになります。

「後処理時間の合計÷対応件数 」

手順の見直し、マニュアル化、自動化ツールなど、業務効率化によって削減が可能な部分です。

コスト・パー・コール(CPC)

コスト・パー・コール(CPC)とは、1件あたりの電話対応にかかるコストです。計算式は次のとおりです。

「コールセンターの総コスト÷処理件数(対応件数) 」

総コストには、オペレーターの人件費や設備費などが含まれます。

コールセンターのマネジメントに関するKPI

最後にコールセンターのマネジメントにおいて重要なKPIを紹介します。

欠勤率

欠勤率とは、オペレーターの予定勤務日数に対する、欠勤日数の割合です。を指します。計算式は次のとおりです。

「欠勤日数÷予定勤務日数」

欠勤率が悪化する原因には、職場環境の悪さや長時間労働といった身体的な要因と、人間関係や業務によるストレスといった精神的な要因があります。高い欠勤率は、本人の離職の可能性が高まるだけでなく、他のオペレーターの業務負担増加からの離職率増加につながるリスクがあります。

離職率

離職率とは、一定期間内に離職したオペレーターの割合です。計算式は次のようになります。

「離職者数÷労働者数」

コールセンターKPI目標数値の目安

さて、コールセンターの主なKPI指標がわかったところで、それぞれどれくらいの数値を設定するべきかについて考えてみましょう。企業や現状によって差がありますので、あくまで目安として参考にしてください。

  1. 応対率の目標:90%以上
             
  2. 放棄呼率:0%
             
  3. 平均応答速度:20秒
             
  4. 稼働率:80〜85%
             
  5. 欠勤率:できるだけ0に近づける

これらはあくまで目安ですが、あまりにもかけ離れている場合は、人員不足、オペレーションシステムの不備など解決すべき原因があります。また場合によっては自動音声ツールなどを導入する必要があるかもしれません。

コールセンターのKPI設定・運用で重要なポイント

コールセンターのKPIを設定・運用する際に重要なポイントを紹介します。

自社の業務や目的に合うKPIを選択する

一口にコールセンターといっても業務形態や現状により、適切なKPIや目標数値は大きく異なります。例えばアウトバウンドとインバウンドで同じKPI数値を設定しても意味がありません。自社の目的、強み、弱みは何か、現状は何が足りていないか、丁寧で論理的な洗い出しが必要です。その際には、KPIツリーと呼ばれるロジックツリーが活躍するでしょう。

現実的に達成可能なKPIを設定する

適正な項目をKPIとして設定したら、次に、現実的に達成可能な範囲で、できるだけ高い数値を設定します。低すぎても高すぎてもいけません。一生懸命頑張れば何とか到達できる、それくらいが理想です。この微妙な数値を正確に設定するためには、やはり正確な現状把握が必須です。また同業他社の水準も参考になるでしょう。

改善や調整をどんどん行う

KPIは一度設定したらそのままでなければならないというものではありません。ここを誤解しないようにしましょう。設定したKPIは遂行しながら定期的に評価します。そして課題があれば分析し、改善します。このPDCAサイクル(Plan, Do, Check, Action)を繰り返すことで、より確実に成功へとつなげられるのです。

まとめ

今回はコールセンターのKPIを取り上げました。コールセンターは慢性的に人手不足に悩まされていることが多く、人員を増やして課題を解決することが困難です。一方、コールセンターの印象は企業イメージを大きく左右します。そのため、業務改善を無駄なく効率的に行う必要が大きいのです。コールセンターの業務も、営業やマーケティング同様に数値化しやすいものが多く、KPIになじみやすいと言えます。ぜひKPIを使って、コールセンターの業務を「見える化」し、業務改善していきましょう。また人手不足とお話しましたが、人材確保に大切なことの一つとして、公平な人事評価制度が挙げられます。コールセンターの人事評価では、パフォーマンス(生産性)、クオリティ(品質)、プロフィット(収益性)という3つの側面から評価しますが、KPIで可視化することによって従業員にとっても納得のいく人事評価が実現可能です。

この記事でわかることは次のとおりです。

  • KPIとは
            
  • KPIのメリット
            
  • SMARTの法則
            
  • コールセンターのKPIにはどのような種類があるか
            
  • コールセンターのKPIの数値目安
            
  • コールセンターでKPIを設定・運用するときの注意点
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