マネジメントの役割、仕事内容、そしてマネージャーに必要とされるスキル

企業は組織を効率的に動かしていくことで発展します。そのため、目標を設定し、達成するために業務に加え、お金や人といった経営資源(リソース)を管理します。これが「マネジメント」です。今回は、この「マネジメント」とマネジメントを行うマネージャーについて、主に次の項目を説明します。

  • マネジメントの役割
  • マネジメントの仕事内容
  • マネジメントに必要とされるスキル
目次

マネジメントとは何か、その意味

マネジメントという言葉は英語ですが、日本語に直すと「管理」「経営」という意味です。アメリカの経営学者P.F.ドラッカーによると、マネジメントとは「組織に成果をあげさせるための道具、機能、機関」のことで、組織において、目標を設定し、その目標を達成するために、組織の限りあるリソースを効率的に活用することを指します。 その役割を担う責任者をマネージャーと呼びます。

マネジメントの具体的な業務内容

「マネジメント」の具体的な業務の内容5つは次のようになります。

目標設定

まず「目標」と「ゴール」を明確かつ具体的に設定します。そして、その目標の実現に向け、何をするべきかを決めます。設定した目標は、従業員たちに周知し理解させ浸透させることが必要です。

組織化

目標達成のために必要な活動、意思決定、関係などについて分析し、その「仕事」を業務に分類し、それぞれの業務ごとに組織作りを行います。また、組織に必要不可欠なマネジメントを行う者、実際に業務を遂行する人など人材の人選も行います。

動機付け

動機付けとは、モチベーションの維持です。マネージャーは、仕事そのものや、インセンティブ・報酬・昇進昇格などによって、部下のモチベーションを維持させる必要があります。

評価

マネージャーは部下や業務に当たる従業員を評価します。大切なのはその「基準」が公平で論理的であることです。マネージャーは、従業員が「組織全体の成果」と「自身が担当する仕事」に対し正しく向き合えるよう促し、またその仕事ぶりを分析・評価し、フィードバックまでを行います。

人材育成

従業員の強みを引き出して伸ばせるか、そういったものを引き出せないままにしてしまうかは、マネジメントに左右されます。

マネジメントに必要なスキル

「マネジメント」を正しく効果的に遂行するうえで欠かせない4つのスキルを紹介します

意思決定

全員の賛同を得られることは少なく、多くの異論や対立がある状況で、客観的な判断材料と自分の信念の両方に基づいて、重要な意思決定をしなければならないことが往々にしてあります。組織のビジョンとの矛盾や、方針自体に矛盾やブレがあると、部下からの信頼は得られません。

コミュニケーション

単に目標を示すだけではマネージャーの仕事として不十分です。部下に理解してもらうためには、認識のすりあわせや意思疎通のためのコミュニケーションが欠かせません。一方的に自分の意見を伝えるだけでは、部下の納得は得られず、部下の意見に耳を傾けることが必要です。

管理

管理スキルも、組織を率いるマネージャーには必要な能力です。具体的には次のような内容になります。

  • 生産性向上のため、適切な組織構成や業務振り分けを行っているか
  • 目標達成に向け、組織を適切に機能させているか
  • 組織全体の業務の質を継続的に上げているか

正しい管理とは、部下の仕事の効果測定だけでなく、部下が能力を発揮できる環境を整えたり、フィードバックを適宜実施し指導したりすることも含まれます。

分析

経験や勘のみに頼った施策は的外れになり、組織を間違った方向に導きます。データを分析し戦略を立てて組織の課題を解決することで、目標達成が実現します。

マネジメントの種類

マネジメントにも種類があり、それぞれ仕事内容や責任範囲が大きく異なります。マネジメントは、次の2つの基準で分類されます。

  • 階層別マネジメント:階層(役職)に応じてマネジメントを分類
  • 業務別マネジメント:業務範囲に応じてマネジメントを分類

それぞれについて、より詳しく見ていきましょう。

階層別マネジメントの種類

  • トップマネジメント:社長や役員などの経営層に求められるマネジメント。組織としての目標設定、意思決定、将来のビジョンの設定など、組織全体の方向性を決定する。
  • ミドルマネジメント:課長や部長などの中間管理職に求められるマネジメント。経営層と現場の間に立ち、双方向の意思伝達が円滑になるようにしながら、全社方針や計画に基づいて現場を指揮。
  • ローヤーマネジメント:現場監督やチームリーダーなど、現場を直接動かすポジションからのマネジメント。

業務別マネジメントの種類

業務別マネジメントの種類は多数あります。基本的には次の3つに分類できます。

  • 組織運営に関するマネジメント:チームマネジメント、リスクマネジメント、プロジェクトマネジメントなど、組織運営を目的とするマネジメント。
  • 人材管理に関するマネジメント:タレントマネジメントやモチベーションマネジメントなど、適切な人材活用を目的としたマネジメント。
  • メンタルヘルスに関するマネジメント:ストレスマネジメントやメンタルヘルスマネジメントなど、従業員の心身の健康を守ることを目的としたマネジメント。

マネジメントの業務内容

マネジメントの種類はさまざまですが、どのマネジメントにも共通する5つの業務があります。

  • 目標設定
  • 部下の育成と評価
  • チームビルディング
  • 部署・部門間の連携
  • 会議などの場のファシリテーション

目標設定

マネジメント業務における目標設定は、次の3つです。

  • 組織の目標設定:部、課、グループなど、マネージャーが管理する組織の目標です。会社の方針やミッションなどを基礎に、組織は会社にどう貢献するか目標を立てます。
  • 部下の目標設定:部下の目標設定は部下自身が主体的に行いますが、マネージャーは組織目標に沿っているか、部下のキャパシティに見合っているかなどを確認・管理します。
  • マネージャーの目標設定:組織の目標をマネージャーとしてどう達成するかを、自己の目標として設定します。

部下の育成と評価

部下の育成と評価も重要なマネジメント業務です。部下の成長を促すためには、部下を適切に評価しフィードバックを繰り返さなければなりませんが、伝え方を間違えると部下のモチベーションを下げる結果になってしまいます。部下一人ひとりの性質や特性を考えて接する必要があります。

チームビルディング

目標を達成するために、各メンバーのスキルや経験を発揮できるような組織を作っていくことをチームビルディングといいます。具体的には次の3つを行います。

  • 適切な目標をメンバーに与える
  • メンバー間の信頼関係の形成
  • プロジェクトに応じて適切なメンバーを選定・配置

部署・部門間の連携

他部署・他部門との連携は組織全体の生産性を上げます。部門同士の仲介役として、相互に連携が取れるようにしたり、仕組みの調整をすることで、組織全体の業務遂行がスムーズになります。

会議などの場のファシリテーション

ファシリテーションと言う言葉は耳慣れないかもしれませんが、会議や打ち合わせを円滑に進めることを指します。この役割を担う人をファシリテーターと呼び、これもマネジメント業務の1つです。

求められるスキル

マネジメントを円滑に行うため、マネージャーに求められるスキルは次の5つです。

コミュニケーション能力

まずひとつ目はコミュニケーション能力です。部下全員と相互理解を深め信頼関係を構築することが、円滑な業務進行に必要です。重要なのは、一方的な伝達ではなく、「相手と双方向の意思疎通を行う」ことです。

  • メンバーと目標や方針を正確に共有する
  • マネージャーとして指示する
  • 部下の不安や不満をヒアリングする
  • 部下のモチベーションを維持する

優先順位付

物事に優先順位を付けるのも大切な能力です。マネージャーは並行して複数のプロジェクトを管理することが多く、また1つのプロジェクトの中にもさまざまな工程があります。人的・時間的資源が足りない時には、カットすべき不要な業務を見つけ、残りのどの業務を優先させるか判断しなければなりません。

進捗管理能力

マネージャーは、目標を設定したら、部下のスケジュール、人材配置、タスクなどを調整・管理します。円滑にこれらを遂行する能力を進捗管理能力といいます。ただし、頻繁な進捗管理がモチベーション低下につながることもあり、部下の性質を見極めることが大切です。

計数管理能力

計数管理とは、売上や利益などの数字と企業活動を紐付けて管理することです。マネジメント業務では、業務の進捗や目標管理だけではなく、コストがどれくらいかかるか、利益はどれくらい出そうかといった数値が大切です

マネジメントスキルの開発

良いマネジメントスキルを持つことは、リーダーシップの成功に欠かせません。しかし、優れたマネジメントスキルを開発するには時間と努力が必要です。マネジメントスキルの開発に焦点を当て、具体的な方法やアプローチを紹介します。自己啓発やトレーニングの重要性、実践的なスキルの習得、他の成功者からの学びなど、あなたのマネジメントキャリアを発展させるためのヒントを提供します。一歩踏み出して、より優れたリーダーとしての道を歩んでいきましょう。

マネジメントスキルの重要性

マネジメントスキルの重要性は計り知れません。優れたマネジメントスキルを持つリーダーは、チームを効果的に指導し、目標を達成するための戦略を策定します。コミュニケーション能力や問題解決能力、リーダーシップの力は、チームのモチベーションや生産性に直結します。また、優れたマネジメントスキルは組織全体のパフォーマンスにも影響を与えます。組織の目標達成や成長に不可欠な要素となり、競争力の強化や持続可能な成功につながります。したがって、マネジメントスキルの開発と継続的な向上は、個人のキャリア発展や組織の繁栄において不可欠です。

チームマネジメントの開発

チームマネジメントは、効果的なチームの運営と成果を生み出すための重要なスキルです。チームマネジメントでは、目標の明確化、役割分担、コミュニケーションの促進、課題の解決などが求められます。リーダーシップの一環として、メンバーのモチベーションや能力を引き出し、協力と協力関係を構築することが重要です。また、タスクの優先順位や期限の管理、進捗の追跡なども行う必要があります。効果的なチームマネジメントは、メンバーのパフォーマンスと組織の成果を向上させるための鍵となります。。

マネジメントスキルのトレーニング

マネジメントスキルのトレーニングは、リーダーシップ能力の向上と組織の成果を最大化するために不可欠です。トレーニングプログラムでは、コミュニケーション、問題解決、チームビルディングなどのスキルを総合的に強化することができます。実践的なシナリオやケーススタディを通じて、リアルな状況に対処する能力を養いましょう。また、フィードバックやメンタリングを受けることで自己成長を促進し、新たな戦略やツールを学ぶことも重要です。マネジメントスキルのトレーニングを通じて、自信を深め、成功を収めるためのリーダーシップの基盤を築きましょう。

マネジメントに向いている人

以上の業務内容や必要なスキルから、マネジメントに向いているのはどのような人かも見えてきます。主に次の5つが、マネージャーに求められる資質です。

責任感が強い

マネージャーは、自分の属する部署全体に対して責任を負います。そのため「自分の業務だけちゃんとやる」という一メンバーレベルの責任感では、不足しています。部下の行動や業務を「自分の責任範囲である」と認識できる上司としての「責任感」が必要です。マネージャーの責任感は部下の心理的安全性を左右します。責任を取らない上司の元では、部下は萎縮してしまいます。

洞察力がある

「部下の育成と評価」や「部門間連携」において、物事や人物の本質を見抜く力である洞察力は重要です。洞察力に優れたマネージャーでは、表面的な成果だけでなく、それを支えている人材の貢献度を見落とさず正当に評価します。また他部門と連携する際には、組織の「キーマン」を見抜き信頼関係を構築すれば、物事が捗ります。

他人に仕事を任せられる

名プレイヤーが名監督とは限らないという言葉があります。マネージャーは、部下に仕事を振らなければなりません。「すべて自分でやらないと気が済まない」「他人のミスを許容できない」タイプのマネージャーでは組織全体のモチベーションが下がります。部下を信頼し仕事を任せられるタイプのほうがマネージャーに向いています。

自分の感情をコントロールできる

マネジメントでは、部下のミスを指摘したり厳しいフィードバックをする必要が時々発生します。しかし、怒りに任せ叱責したり心ない言葉を口にするようではマネージャーとして失格です。昨今、それらの言動はハラスメントとされるリスクがありますし、そもそも職場の雰囲気を悪くします。ストレスを感じていても、自分の感情を客観的に捉え落ちついて対処できる人が望まれます。

まとめ

この記事では「マネジメント」とマネジメントを行うマネージャーについて、次の項目を説明しました。リソースを効率よく正しく活用するためのマネジメントは、企業の経済活動と成長に欠かせません。マネジメントの階層や、それぞれに必要なスキルなどをしっかり理解することで、質の良い効果的なマネジメントを実現できるでしょう。

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