効果的なマネジメント能力の開発法と成功への道

マネジメントとは「管理」という意味で、マネジメント能力とは「管理能力」と訳されます。ビジネスマネジメントとは一般的に「経営資源の管理(能力)」を意味し、経営者や管理職に求められる能力のひとつです。マネジメントの責任範囲は、経営者であれば企業全体で、リーダーやマネージャーであれば担当するチームや部署になります。同じくリーダーやマネージャーに求められる「リーダーシップ」というものがありますが、リーダーシップは「部下やメンバーに組織が進むべき方向性を示し統率する力」を指します。そのためリーダーシップの対象は「ヒト」です。なお企業の経営リソースには、ヒト以外にモノ・カネがあります。マネジメント能力はヒトだけでなく、モノ(資材や製品)やカネ(資金)も対象です。

この記事ではマネジメントについて、以下の項目を解説します。

  • マネジメントに必要なスキル
  • マネジメントに向く人と、不向きな人が陥る問題
  • マネジメント能力を高める方法
目次

マネジメントに必要なスキル、向き不向き

業務経験を積むと、プレイヤーからマネジメントする側に立場が変わることは一般的です。しかしながら、マネジメント職に就いて思い悩む人は少なくありません。マネジメントに必要なスキルや、向き不向きについて解説します。

悩み多きマネジメント経験とは

「管理職」という言葉が示す通り管理職の仕事は管理、すなわちマネジメントですが、マネジメントを任され始めた管理職初心者にとっては「思っていた以上に難しい」「上手くいかない」ことが少なくありません。特に次の4つの点が問題となります。

・年上部下との付き合い方

・部下が思うように動いてくれない

・部下のやる気を引き出せない、育成が難しい

・プレッシャーが増える

これらの悩みはマネジメントスキルを高めることで解決できます。解決法をご紹介します。

年上部下との付き合い方

相手が年上だと指示や指摘がしにくい、遠慮がちな指導しかできない、こういった悩みは年上の部下を持つマネージャーに多く見られます。本来、経験豊富な年上の部下はチームにとって心強い存在。年齢ではなく、その人の強みや特性を見極め、適切な役割を与えることで、マネージャーと本人、本人と周りのメンバーとの良好な人間関係が構築されます。

部下が思うように動いてくれない

ビジョンや目標、計画を立てたが、想定したように部下が動かないという状況は、先行きの不安でストレスを感じます。原因として考えられることのひとつに、部下がビジョンや目標、計画を「自分ごと」としてきちんと理解できていない可能性が挙げられます。部下個人の業務がチームの中で、または企業にとって、どのような成果とメリットをもたらすかを具体的に伝えてはどうでしょうか。

部下のやる気を引き出せない、育成が難しい

プレイヤーとしての経験しかない場合、部下の育成に戸惑う傾向があります。改善、育成のため、懸命に指摘し注意しても、部下の反応が薄かったり、納得していないことが伝わってくると、空回りしていると感じるでしょう。相手に気づきを与え行動や成長のきっかけとなるよう叱ったつもりが、一方通行の指摘になってしまい、むしろ人間関係の悪化を引き起こすのです。指摘や叱責の前に、ビジョンの共有、部下の「理解されている」「適切に評価されている」という満足感の醸成、目標達成に対する部下自身のモチベーションを実現しておく必要があります。

また部下が完全に指示待ちで能動的に動かないことが悩みになるケースもあります。部下のモチベーションを高めるためには、日頃のミーティングなどで、意見交換の時間を設け部下の意見を積極的に取り入れます。自分の意見が受け入れられ認められると、自己肯定感が高まり、自発的な行動に繋がります。

プレッシャーが増える

管理職になる企業からチーム全体の大きな成果を求められるので、プレッシャーも増大します。また部下の仕事にも責任を持たねばならないなど、心理的なストレスは大きいです。一人で抱え込まず、成果を上げるためには自分一人が全て何とかする必要はなく、信頼できる部下を育て業務を任せることがマネージャーの仕事であるというように意識を転換します。有能な組織を作り運営することがマネジメントの役割です。

向いていない人

マネジメントに向いていないタイプがマネージャーになると、部門自体の生産性が下がります。ご紹介しておきましょう。

  1. マネージャーが部下の適正、能力、性質を正しく理解していないため、適材適所の逆を行っている状態。生産性が下がるだけでなく、部下のモチベーションも著しく下がる原因です。
  2. 上記のタイプの中に見られるのが、「根性論」「精神論」に固執し、がんとして曲げないタイプです。努力で全てなんとでもなる、できないのは努力不足という考えはマネジメントとしては誤りで、論理的に成果を出すための道筋を作り出すべきです。「目いっぱい頑張れ」ではなく、個々人の能力が適所で発揮できる環境を構築していかなければなりません。
  3. 完璧主義。またはこだわりが強い。部下に仕事を任せずに、全て自分一人で満足がいくように仕事を行ってしまうマネージャー。これも同様に生産性とモチベーションの向上が阻害される。
  4. または任せているようで、徹底的に細かい指示を出してしまうタイプ。短期的な成果は出ても、部下の思考の機会を潰してしまうので、長い目で見れば成長の機会を奪うことになります。また「自分の過去の成功体験」を唯一の正解と考え、部下に強要するのも、ありがちな危険です。人の能力、問題の背景はそれぞれ異なります。

マネジメント能力を高める方法

今現在、マネジメント能力が不十分と感じている人も、下記の点を心がけ実行していくことで、マネジメント能力を高めることができます。

分析力・問題解決力

問題を論理的に分析し、正しい方法で解決する能力はマネジメントに必要なスキルです。マネージャーは、日常的に、どう行動すれば良いか分析・判断し、正しい指示を出してチームを動かします。これはマネジメントの基本と言えるでしょう。このスキルを磨くには、ロジカルシンキングを身につけることが有効とされています。考えられます。日本語にすると「論理的思考」と訳されるロジカルシンキングは、特にマネジメント力を高めるために必要です。

リーダーシップ・意思決定力

リーダーシップはマネジメントに必要な能力のひとつです。部下からの人望が薄ければ、全員一丸となり目標に向かえるように統括・指導することは難しく、成果が出ません。リーダーとして意思表示、決定、統率がしっかりできれば、部下は上司を信頼できます。リーダーシップを高めるには、目標達成から逆算したチーム像、メンバー像、リーダー像を明確にし、自分の伝えたいビジョンが正しく伝わっているか日々チェックすることが効果的です

コミュニケーションスキル

マネージャーには部下を指導し部下のもつ力を最大限に引き出すコーチングスキルが必要です。このコーチングスキルは言い換えると、コミュニケーションスキルのことです。​部下の可能性やモチベーションは、上司が彼らの特性と能力を正しく認め適切なコミュニケーションを重ねることによって引き出されるからです。

ファシリテーションスキル

ファシリテーションスキルは耳慣れないかもしれませんが、会議などで、参加者の意見を上手く引き出したり、意見を言いやすい雰囲気を作ったり、意見の違いからくるぶつかり合いを避けるようにコントロールしたり、会議がスムーズに進行するように導くスキルです。異なる意見を最終的にまとめたり、議題への結論が導かれるよう促したり、管理職には欠かせないスキルです。ファシリテーションスキルを高めるには、目的をしっかり共有し、公平かつ快活な態度を維持し、継続的にメンバー全員の現在地点までの理解度把握と意見の深掘りをすることです。

アセスメントスキル

アセスメントスキルとは、部下の能力と特質、そして育成すべきポイントを正しく見極めるスキルです。マネージャーのこのスキルの高低によって、チームのバランスや部下の成長率が変わりかねません。アセスメントスキルを伸ばすには、日常的に部下の行動をよく観察し、特性や傾向をつかむとともに、面談や雑談を通し適性や強みを探すようにしましょう。

プロジェクトマネジメント力

プロジェクトに対し、マネージャーは、人材、コスト、納期など総合的に判断し、誰に、何を、いつまでに任せ、どのような方法で目的を達成するかを考えなければなりません。

テクニカルスキル

一般的には、管理職のスキルと、ある専門分野におけるエキスパートのスキルは、まったく別物だとされますが、マネジメントにおいて、テクニカルスキルを備えておくことは、部下への見本として、そしてトラブル時の対応力として、身につけておくに越したことはありません。

評価方法と自己評価

優れたマネジメント能力は、組織の成功に不可欠です。しかし、その能力を客観的に評価し向上させるためには、適切な評価方法と自己評価の重要性を認識する必要があります。以下では、マネジメント能力の評価方法やフィードバックの収集、そして自己評価の重要性に焦点を当て、効果的なマネジメント能力の発展に役立つアプローチを探ります。自身の成長を促し、組織に貢献するための具体的なステップを共有します。マネジメント能力の評価と自己評価の重要性を探ってみましょう。

成果の評価

成果の評価は、業績やプロジェクトの達成度を客観的に評価し、改善や成長の方向性を示す重要な要素です。適切な成果の評価には、目標の明確な設定、具体的な指標やKPIの選定、定量的・定性的なデータの収集・分析などが含まれます。また、評価結果をフィードバックし、アクションプランを策定することで、継続的な改善を図ることができます。成果の評価は組織や個人の成長に欠かせない要素であり、組織の成功につなげるために重要です。

フィードバックの収集

フィードバックの収集は、他者からの意見や評価を収集し、自己の成長や改善に役立てる重要なプロセスです。適切なフィードバックの収集には、オープンなコミュニケーションの促進、質問やアンケートの活用、定期的な評価や振り返りの実施などがあります。他者の視点や意見を受け入れることで、自己の盲点や改善点を明確化し、成長を促すことができます。

360度評価

360度評価は、従来の上下関係だけでなく、周囲の人々からの評価を総合的に収集する方法です。部下や同僚、上司など、関係者全体のフィードバックを得ることで、自己評価の客観性を高め、個人の強みや改善点を把握することができます。360度評価は、組織やチームのパフォーマンス向上にも寄与し、相互理解と信頼の構築にも役立ちます。

自己評価の重要性

自己評価は、自身の能力や成果を客観的に見つめ直すために重要です。自己評価を行うことで、自分の強みや改善点を明確にし、自己成長の方向性を見出すことができます。また、自己評価は目標達成やキャリア開発にも寄与し、自己意識の向上や自己管理能力の向上につながります。自己評価は自己啓発の基盤となる重要なプロセスです。

アクションプランの策定

アクションプランの策定は目標達成への道筋を明確にするために重要です。具体的な行動やステップを計画し、実行に移すことで目標達成に向けた進捗を確保できます。アクションプランは目標に向けた具体的な方向性を提供し、計画的な行動を促します。効果的なアクションプランの策定は成果を最大化し、目標の達成に向けた努力を効率的に結び付けることができます。

まとめ

最後にユニークな【ディズニーストラテジー】をご紹介しましょう。これはディズニーが唱えている「マネジメント能力に必要な3つの視点」です。

【ディズニーストラテジー】

  1. 「夢想家」。基本的にウォルト・ディズニーは、この視点の持ち主であったといわれています。周囲に「夢」だと思われるような壮大な夢やワクワクさせるようなことを考える視点です。
  2. 「現実家」。その「夢」はを実現するにはどのような戦略が必要なのかを、現実的に考える視点です。
  3. 「批評家」。第三者の客観的な立ち位置から、シビアに分析しチェックすることで課題を見つけ、夢を実現に近づけます。

これを読んで皆さんはどう感じたでしょうか。「バランス」という言葉が頭に浮かんだのではないでしょうか。ヒト・モノ・カネを管理するマネジメントには、バランス感覚が欠かせません。この記事ではマネジメントについて、以下の項目を解説しました。

  • マネジメントに必要なスキル
  • マネジメントに向く人と、不向きな人が陥る問題
  • マネジメント能力を高める方法

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