経営コンサルティングの依頼を考える際に、まず気になるのが費用です。コンサルティングは、規模・内容・契約期間によって料金が大幅に変わります。成果によっては、マイナスになるリスクがありますし、費用が高額であればそもそも依頼が難しいというケースもあるでしょう。予算内で高い成果を得るためには、事前の知識と検討が重要です。今回はずばり、皆さんが最も気になる経営コンサルティングの費用相場について解説します。経営コンサルタントへの依頼を考えていらっしゃる方の参考になれば幸いです。この記事でわかることは次のとおりです。
- 経営コンサルタントの契約形態別の相場料金
- コンサルタントファームの規模別相場料金
- 業種・職種特化型コンサルティングの相場料金
- 良い経営コンサルタントを見極めるための5つのポイント
コンサルティング費用の算出方法
コンサルティング費用は、次の要素で決まります。
- 依頼する時間と期間
- コンサルティングの単価
- その他の費用
依頼する時間と期間
時間と期間が長くなければ長くなるほど費用はかさみます。同じ会社の同じ経営課題でも、アドバイスのみ、戦略立案まで、施策実行・効果測定・アフターフォローまで、それぞれ料金が大きく異なります。どこまで社内で行えるかを判断することも大切です。
経営コンサルティングの単価
コンサルタントの経験やスキルが高い場合や、コンサルティングファーム自体が大手の場合、費用は高くなります。一方で、若手や実績がまだ少ないコンサルタントであれば、比較的コストを抑えることができます。パフォーマンスとコストのバランスを考えながら、自社の予算に合うベストな選択をすることが大切です。
その他の料金
上記以外にかかる費用として、システム開発費用・導入費用等が必要になることがあります。
3つの契約形態とその相場
経営コンサルティングには主に3つの契約形態があります。コンサルティング会社の規模や依頼する業務範囲、コンサルタントのキャリア年数などによってバラつきがあるためひとくくりにすることはむずかしいですが、一般的な契約内容や費用相場についてご紹介します。
顧問契約型
顧問契約型の経営コンサルティングとは、単一のプロジェクトではなく、中長期的に経営にコミットします。定期的なミーティングや経営会議で経営に関するアドバイスや指導を行ったり、経営者とマンツーマンで相談に応じたりもします。
報酬は毎月定額で、費用相場は月に1、2度の訪問で月額20〜50万円です。
時間契約型
時間契約型の経営コンサルティングは、1時間または1日単位で、作業時間に応じ報酬が算出されます。報酬は、コンサルタントの経験値により大きな差があります。コンサルタントの経験、資格、能力、得意分野などが成果に直結しますので、プロジェクトに必要な要素を見極めることが重要です。
費用相場は、コンサルタントの経験、スキル、資格などにより、1時間あたり5000円〜10万円です。
成果報酬型
成果報酬型の経営コンサルティングとは、担当したプロジェクトの成功度や達成度など成果によって報酬が決まる契約形態です。報酬額は、当該プロジェクトによる売上や利益の数%となっています。
一件、成果報酬型は「成果を出せなければ(大金を)払わなくていい」クライアント側のメリットが大きく感じられますが、コンサルタントの中には利益を優先し、短期的にしか通用しない強引な手法を取ったり、長期的、根本的な解決にはならない提案を行う者もいます。成果報酬型のコンサルティングを依頼する時には、信頼できるコンサルタントであることが前提になります。トラブルになることも多く、この契約形態は昨今はあまり見られません。
その他の契約
上記3種以外にも次のような契約形態があります。
プロジェクト型契約
プロジェクト型契約は、プロジェクト単位での契約です。主にITコンサルタントで導入されていることの多いやり方で、プロジェクトへの参画が終了すると契約も終了します。
費用の相場は、プロジェクトの規模により異なり、特定のソフトウェアを導入するだけなら月10〜30万円程度、戦略立てから導入支援までであれば月50〜100万円程度が一般的です。
職種特化
職種特化型コンサルティングの職種特化型コンサルティングは、経理・総務・人事・財務・法務などのバックオフィスや、営業・広報・マーケティングなど、領域を限定したコンサルティングです。社会保険労務士・公認会計士・税理士などの士業、成果を上げてきたカリスマ営業マン、キャリアアドバイザー、銀行による貸付審査部門出身の人などがコンサルティングを行っています。
費用相場は、月3~10万円程度ですが、コンサルタントによって大きく異なります。
業種特化
業種特化型コンサルティングは、住宅業界・不動産業・保険業界・飲食業界・学習塾業界・広告業界など 特定の業種のみを対象としているコンサルタントの活動です。その業界出身のコンサルタントが多いです。
飲食業であれば30〜40%、製造業であれば10〜40%程度が成功報酬として課されます。
業種・職種特化コンサルティングの料金相場
業種や職種に特化したコンサルティングは、一般的な経営コンサルティングに比べると利用しやすい料金になっていることが多いです。目安は下記のとおりです。
- ファイナンシャルコンサルティング:月額30万~60万円
- 人材コンサルティング:月額10万~50万円
- 財務コンサルティング:月額30万~60万円
- ITコンサルタント:月額40万~60万円
- 労務コンサルタント:月額4万~10万円
- ファイナンシャルコンサルタント:月額10万~20万円
コンサルタント料金を決める要素
コンサルティング費用は次の2つの要素で決まります。
- 経営コンサルタントの経験や実績
コンサルタントに求めるものは、的確なアドバイスや先見の明です。クライアントが抱える課題を確実に迅速に徹底的に解決できるコンサルタントの報酬は高く、そうでないコンサルタントの報酬は安くなります。経験・実績で報酬金額が決まるため、新人のコンサルタントと、実績豊富なシニアコンサルタントでは、大きな差があります。
- 会社の規模
大手のコンサルティングファームの場合、費用は高額になります。たとえば専任コンサルタント3名〜4名が3か月間、特定のプロジェクトにコミットした場合、報酬の相場は2000〜3000万円です。数億円規模の経営プロジェクトや大規模プロモーションを前提としているためです。しかし中小企業にとってこの高額な料金は現実的ではないでしょう。
顧問契約型の経営コンサルティングの契約期間
顧問契約型のコンサルティングの契約期間は、主に以下の3つです。
- 年間契約(1年以上)
- 短期契約(4〜6ヶ月)
- スポット契約(1ヶ月)
年間契約は中長期的視点に立ち、継続的なPDCAで経営改善していくケースで有効です。短期契約やスポット契約は、融資や資金調達のための経営改善計画書作成や、経営改革のアイデア提供など、短期的な特定のプロジェクト達成を前提にしています。
コンサルタントファームの規模別料金相場
大手コンサルティング会社
- プロジェクト型契約:年間1億円程度
- アドバイザリー契約:月額100万円〜
小規模コンサルティング会社
- プロジェクト型契約:年間120万~400万円程度
- アドバイザリー契約:月額3万~5万円
- 時間契約・スポットコンサル:1時間1万5,000円~3万円
独立系コンサルティング会社
- プロジェクト型契約:年間180万~550万円程度
- アドバイザリー契約:月額20万~30万円
- 時間契約・スポットコンサル:1時間3万円~5万円程度
アタリの経営コンサルタントを見極める5つのポイント
経営コンサルタントの料金は、経験値と成果を示します。とはいえ、経験が浅くても、良い仕事をしてくれるコンサルタントが見つかることがありますし、また見つけたいものです。自社の抱えている課題分野を得意としているコンサルタントを選ぶのは基本中の基本ですが、他にも必ずチェックしておきたい点があります。
- 実績が豊富で実力があるコンサルタントか
- 自社の経営ビジョンを正しく理解、賛同し、実現のためのアイデアを提供してくれるか
- 現状のキャッシュフローを的確に整理し、将来予想されるキャッシュフローも把握した上で、現実的なアドバイスができるか
- 親身に相談に応じてくれる人間性
- 目先の利益だけではなく、中長期的な視点に立ちアドバイスしてくれるか
まとめ
外部コンサルタントへの依頼を考えているならば、費用相場を知った上で、自社の予算に合うベストなコンサルタントを探す必要があります。コンサルタント料金は、コンサルタントの経験や成果に比例しますが、それでも料金が高額ならば必ず自社にベストの結果が出るとは限りません。また料金が安くてもパフォーマンスが低ければ、無駄な支出となってしまいます。特に長期的なビジネスパートナーとして付き合っていくならば、相場、自社との相性、コンサルタントの強みや人柄などをしっかりと見極める必要があります。
この記事でわかることは次のとおりです。
- 経営コンサルタントの契約形態別の相場料金
- コンサルタントファームの規模別相場料金
- 業種・職種特化型コンサルティングの相場料金
- 良い経営コンサルタントを見極めるための5つのポイント
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