人材育成が自社の将来にとって重要であることは多くの企業が理解していますが、実際に人材育成がうまく進んでいない企業も多いです。人材育成は、採用、研修、評価制度など、様々な業務を含みます。そのため人材育成コンサルの導入が、一つの効果的な手段になります。コンサルタントの専門知識、ノウハウ、成功事例などを活かし人材育成を進めれば、より効率的、効果的に、社員の能力とモチベーションの向上が可能になります。この記事でわかることは次のとおりです。
- 人材育成コンサルティングとは
- 人材育成コンサルティングを導入するメリットとデメリット
- 人材育成コンサルタントの選び方
- 人材育成コンサルティングを成功させるコツ
人材育成コンサルティングとは
人材育成コンサルティングとは、人材の教育・育成についてのコンサルティングです。人材育成コンサルの主な業務は次の3つです。
- 採用コンサルタント
- 人事組織コンサルタント
- 人材育成コンサルタント
企業の育成方針が制定されていない場合や見直したい場合は、成功事例をいくつも見てきている人材育成コンサルに、どのような人材が自社に必要かの相談も可能です。コンサルタントはインタビューや事業計画書などをもとにクライアントが求める人物像を具体化し、階層別・業種別の人材モデル設定します。そして、現従業員のスキル分析によって課題を明らかにします。本来は社内で定義されているはずの「求める人材モデル」ですが、自社の経営戦略の実現に最適な人材を明らかにし、さらにその人材が備えるべきスキルや知識を確定することは、今までそのような取り組みをしていなかった企業にとって大変なことです。しかしながら人材育成方針を明確にしなければ採用、教育においてミスマッチが増えてしまいます。。
採用コンサルタント
採用コンサルタントとはノウハウを活かし、効率的な採用活動ができるよう運営に関しての提案から、必要な人材の採用代行まで、採用に関するすべての業務をサポートします。少子化による人手不足で、「欲しい人材」の採用は年々むずかしくなっていっており、企業の求める人材を獲得するためには、効率的なテクニックが必要です。そのため採用コンサルタントの需要は増えています。
人材育成コンサルタント
人材育成コンサルタントは、専門的なスキルやノウハウを活かし、研修の設定や環境づくりなど人材育成に関するすべての業務や課題解決をサポートします。人材育成は経営の最重要課題ですが、時間やスキルが足りず人材育成についての課題を抱えたままになっている企業は多いです。人材育成は企業全体で取り組まなければ効果が出ません。人材育成コンサルタントに依頼することで部門を超えて共通の目標に向かい取り組みやすくなります。
人事制度コンサルタント
人事制度コンサルタントは、企業の体質そのものを変革したいと考えている企業に対し、人事制度や評価制度などを変える手助けをします。人事や評価に携わる社員が現場についての知識を持っていなければ、人事制度コンサルタントのサポートは重要です。適切な評価制度がなければ、人材が流出するリスクがあります。現在は終身雇用制が崩れ働き方が多様化し、転職や独立が当たり前になっています。優秀な人材を確保し離職率を下げるために、人事制度のプロの手が必要なのです。また人事制度は労基法などの法律を遵守しなければならないことも、人事制度コンサルタントのスキルや能力が求められる理由です。
人材育成コンサルティングを導入するメリット・デメリット
人材育成コンサルティングを導入するとどのようなメリットとデメリットがあるのかについて、解説します。
人材育成コンサルティングを導入するメリット
- 現状の可視化
- 成功事例や知識の活用
- 自社の人材育成担当者のスキルアップ
現状の可視化
人材育成計画を立てるにあたり、企業は現状について情報を収集し整理、分析しなければなりません。この作業は、論理的な思考力、フレームワークを使いこなすスキル、経験に基づく知見が必要であり、一般的に担当者の大きな負担となるでしょう。人材育成の専門家であるコンサルに依頼すれば、個々の従業員についてスキル、課題、状況、特性など、そして自社の人材育成上の問題点についても、しっかりと洗い出し分析して可視化と俯瞰することで明白になります。
成功事例やスキルの活用
人材育成コンサルタントは、採用、人事制度、育成について幅広い知識、経験、ノウハウがあり、これまでの成功事例や専門スキルを駆使して問題を深掘りし、長期的視点に立って課題の解決策を提案します。「求める人材」と「現状の人材」のギャップを埋めるため、下記のような育成体系や人事制度の仕組みを作ります。新しい研修制度やITツールの導入など、未体験の取り組みは通常、時間がかかります。昨今の変化が激しい社会では、時間をかけて検討、導入準備しているうちに、経営方針や社会状況が変わってしまい間に合わないこともあります。経験豊かな専門家であるコンサルタントにサポートしてもらえばスピーディーに進めることができ、大幅な時間短縮が可能となります。
【育成体系の構築】
- 現在の研修内容の洗い出しと重要度(効果)判定
- 研修計画
- 従業員のキャリアパス
- キャリアパスと連携した研修プログラムやキャリア面談制度
【人事制度の構築】
- 報酬制度
- 評価制度
- 目標管理制度
従業員のスキルアップ
人材育成コンサルタントは、人材育成部門の担当者と協力し、分析や立案を行います。そのため、人材育成部門の担当者は自社にはなかった考え方や、最新のシステムの活用など、未知のスキルを学ぶことができます。他社の施策や成功事例を知ることもできます。人材育成部門の担当者は、コンサルティングのやり方を身近で学ぶ機会を得るのでスキルアップに繋がりますし、企業にとっても貴重な資源となるでしょう。
人材育成コンサルティングを導入するデメリット
- コストパフォーマンスの問題
- 課題解決できるか
- 従業員の理解が得られるか
コストパフォーマンスの問題
人材育成コンサルを利用すると費用がかかります。どのコンサルを選ぶか、何をどこまで依頼するかで料金は変わりますが、安い費用ではありません。「人事制度の見直しと再設定」をプロジェクト型で依頼した場合、「作業単価」×「作業時間」で決まります。作業単価はコンサルタントによって異なりますが、若手コンサルタントでも1時間1万円~、トップコンサルタントとなるとその何倍もの費用がかかります。そのため、自社に合わないコンサルや質の低いコンサルを選んだ場合、コストに見合わない可能性があります。また、コンサルの得意分野をしっかり選定するだけでなく、期間が長引いた際の追加費用の有無なども含め、料金についてはしっかり確認する必要があるでしょう。
課題解決できるか
人材育成のコンサルティング会社も千差万別です。コンサルによって対応している分野や得意な分野があり、これを見誤ると成功は見込めません。
従業員の理解が得られるか
人材育成コンサルによっては、従業員の不満を招いてしまうことがあります。従業員とってこれまでよかった評価方法ややり方を、外部の人間がいきなり変えてしまう場合です。人材育成コンサルを導入したり業務改善を行う場合、マネジメントが事前に従業員にその意図と労使双方のメリットを説明することが大切です。
デジタル時代における人材育成コンサルティング
デジタル時代における人材育成の重要性はますます高まっています。企業が競争力を維持し成長するためには、適切な人材育成戦略が不可欠です。デジタル時代の人材育成における最新トレンドと共に、人材育成コンサルティングの価値と具体的な活用方法について解説します。経験豊かなコンサルタントが提供する戦略的なアドバイスや革新的なプログラムによって、企業は人材の成長とパフォーマンスの向上を実現し、競争力を高めることができます。
デジタルスキルの強化
デジタル時代において、人材育成における重要なポイントはデジタルスキルの強化とテクノロジーの活用です。急速なデジタル化の進展により、企業は新たなスキルセットを必要としています。人材育成コンサルティングでは、従業員のデジタルスキルを評価し、不足している部分を特定して強化するトレーニングプログラムを提供します。また、最新のテクノロジーやツールを活用して、効率的な学習環境を構築します。これにより、企業はデジタルスキルを持つ優れた人材を育成し、業務プロセスの効率化やイノベーションの推進に貢献することができます。
リモートワーク環境
リモートワーク環境においては、適切なコミュニケーションと協働がますます重要となります。物理的な距離があるため、コミュニケーションの活発化が必要です。人材育成コンサルティングでは、リモートワークに適したコミュニケーションツールやプラットフォームの活用方法を提案します。また、チームメンバー間の信頼関係を築き、効果的な協働を促進するための指導やトレーニングを行います。定期的なチームミーティングやフィードバックの機会の確保も重要です。これにより、リモートワーク環境でもチームの結束力を高め、目標の達成や成果の向上につなげることができます。
データ分析とAIの活用
データ分析とAIの活用は、人材育成において効果的な学習と評価を実現するための重要な要素となっています。データ分析を通じて、学習の効果や成果を客観的に評価し、個々のニーズに合わせたカスタマイズされた学習プランを作成することが可能です。また、AIを活用することで、大量のデータを高速で処理し、傾向やパターンを抽出することができます。これにより、個別の学習ニーズを的確に把握し、適切な教材やコンテンツを提供することができます。また、AIによる自動評価やフィードバックシステムを導入することで、学習の進捗や成果をリアルタイムにモニタリングし、個別のサポートや改善策を提供することができます。データ分析とAIの活用により、より効果的な学習と評価を実現し、人材育成の効率性と成果を向上させることができます。
デジタルツールやオンラインプラットフォームの活用
デジタルツールやオンラインプラットフォームの活用は、人材育成において大きな利点をもたらしています。これらのツールを活用することで、時間や場所の制約を超えて効果的な学習環境を提供することができます。オンラインプラットフォームは、さまざまな学習コンテンツやトレーニングプログラムを提供し、参加者は自分のペースで学習することができます。また、デジタルツールを活用することで、学習の進捗状況や成果をリアルタイムに追跡し、個別のサポートやフィードバックを提供することが可能です。さらに、デジタルツールはコラボレーションやコミュニケーションを支援し、チームワークや協働の強化にも役立ちます。さまざまなデジタルツールやオンラインプラットフォームを活用することで、柔軟性のある学習環境を構築し、効果的な人材育成を実現することができます。
コンサルタントの選び方
上記で述べたように、自社の課題に適しているコンサルタントを選ぶことは大切です。そのため、自社の課題とコンサルタントに求めるもの、この2つを明確にする必要があります。そうすれば、その分野を専門領域としているコンサルタントを選ぶことができます。コンサルタントを選ぶ際のチェックポイントは次の6点です。
- 専門領域
- 実績(過去に成果を上げたか、担当クライアントにすぐに打ち切られていないか)
- 強み、弱み
- コンサルティングの期間やスケジュールの実施プロセス
- 料金や料金体系
- 複数コンサルと比較してどうか
人材育成コンサルティングの流れと注意点
人材育成コンサルティングの流れは基本的に次の3段階です。
- 人材育成方針の策定
- 仕組みづくり
- 施策の導入・運用
人材育成コンサルを有効に活用するためのポイント
コンサルとの人材育成プロジェクトが決定しても丸投げではいけません。打合せやレポートの確認なども受け身の姿勢ではなく、次の点を重視することが、成功につながります。
主導権はクライアントである企業側にある
コンサルタントを活用したにもかかわらず成功しなかった事例によくあるのが、コンサルのアドバイスや提案が「理論上は分かるが、現実的ではない」と判断し、企業は実行に移せず終わったというパターンです。これではコンサルを活用した意味がありません。決して相手に丸投げせず、途中段階で、適宜コンサルタントと話し合い、自社のニーズから外れないよう軌道修正しましょう。それによって実現可能性のある成果が得られます。自社の経営です。最終的な意思決定は自社が行うことが大切です。
コンサルに協力し、積極的に参加する
少々いやらしい言い方になりますが「高い料金を払っているのだから」「専門家なのだから」と言って、コンサルに対し「ほら、やってみて」「お手並み拝見」といった態度で望む企業も存在します。会社の改革に最も重要なのは、社内の担当者と関係者の熱意です。そして社全体にコンサルを受け入れる体制があることも、プロジェクトの成功には必須です。担当者だけでなく他の社員もコンサルティングを受け入れられるよう、事前の説明や環境作りをしましょう。
まとめ
人材育成コンサルタントは、企業の発展に不可欠な人材育成をサポートします。人材育成のプロであり、自社にはない視点、知識、スキル、経験でよりよい人材育成の仕組み作りに貢献します。ただし、コンサルタントによって得意な領域が異なり、また相性や料金体系の問題もあるので、選定には注意が必要です。自社の目的や規模に合わせたコンサルタント選びが大切です。
この記事でわかることは次のとおりです。
- 人材育成コンサルティングとは
- 人材育成コンサルティングを導入するメリットとデメリット
- 人材育成コンサルタントの選び方
- 人材育成コンサルティングを成功させるコツ
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