人材育成の事例

人材育成は企業にとって非常に重要です。社員のスキルや能力を最大限に伸ばすことは、会社の人的資源を豊かにし、売上などの成果につながることは疑いようがありません一方で人材育成には、多大な時間・金銭・人的コストがかかります。人材育成に課金するなら、成功させなければならない。これはどの企業、コンサル、人材育成担当者にとっても共通認識でしょう。今回は、実際に企業が実施した人材育成の成功事例をご紹介します。どのように課金すれば無駄なく部下を育成できるか悩んでいる方の一助となれば幸いです。この記事でわかることは、次のとおりです。

  • 人材育成とは
             
  • 人材育成の目的
             
  • 人材育成の手法
             
  • 人材育成の成功事例
             
  • 人材育成成功のポイント
目次

人材育成とは

人材育成とは、企業の重要な資源である人材を育てるため、研修や育成計画を立てることです。ここで重要なのは、単に「担当業務の技術やスキルを持つ社員を育成し、命令や指揮のとおりに働かせる」ことではありません。具体的に「どう考えるのか」「どう行動するのか」を自発的に考えられるよう導くことが、最も重要です教えることです。

人材育成を行う3つの目的

人材育成を行う目的は大きく分けて3つです。

業務の生産性向上を図る

人材育成を行い、社員のスキル向上と意識改革を進めれば、生産性が高まり、労働力・人手不足の解決や人的リソースの最適化が進みます。

企業の業績向上に貢献する

個々の社員の考え方や行動が変化し、企業の業績向上が目指せます。

経営戦略を実現する

企業の経営戦略を実現するために必要な人物像を明確化すれば、どのようなスキルを持った人材を育成すればよいかがわかります。このような人材育成を継続的に行うことで、最終的に「経営戦略の実現に貢献できる人材」を育てることができます。時間や労力をかけて確保した人材の持つ能力やスキルを最大に活かすことができれば、企業全体の業績や利益が成長します。

人材育成の手法

人材育成の手法には、短期的視点に立ったものと長期的視点に立ったものがあります。

短期的な人材育成の手法

次の3つの手法が、一般的には短期的な目標に効果があります。

OJT

「On the Job Training」のことで、現場で実務を通し、必要な知識やスキルを習得させる、上司や先輩による教育や指導のことです。実務で必要な能力を習得するのに最適とされていて、人材育成全体の約9割の時間を占めると言われています。

Off-JT

「Off the Job Training」のことで、業務外の研修のことです。具体的な例として、社内の集合研修や外部講師を招いたセミナーなどがあげられます。OJTとOff-JTを上手く組み合わせ活用することにより、知識やスキルがより身に付くとされています。

SD(自己啓発)

「Self Development」のことで、セミナーに参加したり書籍などで学ぶ自己啓発を指します。

長期的な人材育成の手法

次に、長期的な人材育成に有効な手法について解説します。

人事評価制度

社員の能力や業績などを評価し、成果に応じ昇進や昇級に反映させる制度を人事評価制度と言います。社員のモチベーションアップと、評価の振り返りによる今後の改善と成長が期待できます。

目標管理制度

個人個人に目標を設定させ、進捗を自分で管理させる制度を目標管理制度と言います。目標管理制度はMBOとも呼ばれ経済学者であるP・ドラッカーが提唱したマネジメント手法です。社員の自己管理能力や業務遂行力の成長が期待されます。

タレントマネジメント

自社の人材がどのようなスキルや能力を持ち合わせているのか、その才能(タレント)を把握し、適材適所に配置することで最大限に発揮してもらうことを目指す手法です。

eラーニング

インターネットを活用し、場所や時間にとらわれず学習できるシステムです。学習の進捗管理やオリジナルのコンテンツ作成などの機能もあり、活用する企業が増えています。

人材育成の成功事例

人材育成を成功させた事例を、大企業と中小企業に分けてご紹介します。人材育成を成功させるには、時間、人手、費用が多くかかると考えがちです。特に課金についてはどの企業でも悩む点ですが、必ずしも課金が成功を導くわけではありません。実際に成功している取り組みの中には、負担が少なく、かつポイントを押さえた効果的なアイデアがいくつもあります。

大企業の人材育成成功事例

ヤフー株式会社

ヤフー株式会社は、国内ではまだ一般的でなかった「1on1ミーティング」に着目し、「部下の才能と情熱を解き放つ」という人材育成のコンセプトを元に導入しました。上司と部下1対1で定期的に面談を行うことで、業務だけではなく様々な悩みや相談もできる機会を確保するためです。コミュニケーションが増えることで、一人ひとりの部下の思考や経験を聞き、スキルや能力を正確に把握し、最大限業務に活かせるようサポートすることが目的です。1on1ミーティングの導入で、自発的な課題解決力を持つ人材が増えたそうです。

小田急電鉄株式会社

鉄道事業を手掛ける小田急電鉄株式会社は、ミドルマネジメントにあたる中間管理職の教育にフォーカスしました。具体的には、同社における運転車両部の「助役」が、そのポジションです。現場業務全般を任される非常に重要なポジションが助役です。しかしながら助役から現業長への昇進人数が非常に少なく、ずっと「助役」でいつづけるため、モチベーション維持が課題でした。このような状況は、部下のモチベーション低下にもつながります。またモチベーション低下によるヒューマンエラーは電鉄会社にとって致命的です。小田急電鉄株式会社は「助役真髄塾」を立ち上げベテラン社員から若手社員へ経験談を話す機会を作りました。最初は敬遠していたベテラン助役も、自身の経験を振り返る機会によって、再び仕事に誇りや熱意を持って取り組むようになったそうです。

スターバックスコーヒージャパン

スターバックスコーヒージャパンを利用して、パートナー(スタッフ)の質の高さに感動したことがある人は少なからずいるでしょう。スターバックスコーヒージャパンの人材育成への取り組みは非常に気になるところです。基本的に2つの取り組みで人材育成を行っています。1つめは店舗でのOJTですが、OJTを4つの段階に分け社員個人の考えを尊重し、目標を考え実行することを重視しています。2つめは、社員の価値観を共有する「価値感ワーク」という試みです。これは価値観に関する単語80以上の中から3つ選び、それを選んだ理由をグループで議論するもので、社員同士がお互いの価値観を尊重しあい共感できる機会として施行されています。

サントリーホールディングス

サントリーホールディングスの人材育成で注目すべき点は、「トレーニー制度」「次世代リーダー抜擢」です。トレーニー制度とはグローバル人材育成を目指し、若手社員を海外に派遣する制度です。次世代リーダー抜擢とは、グループ内で企業の垣根を超えて次世代リーダーとして期待できる人材を発掘する取り組みです。

中小企業の人材育成成功事例

大企業に比べ、中小企業の人材育成は、より短期で成果を得ることが大切です。

株式会社金田コーポレーション(従業員数:35名)

大型の鋼構造物の製造を主な事業とし、大型設備の「設計」「製作」「輸送」「施工」「据付工事」までをトータルに請負っている企業です。新規事業への取り組みを強化するため、現社員の育成や定着、リーダーの資質をもった人材の選抜育成、社員一人一人にあった育成の推進を行なっています。社員一人一人の年間計画作成や、資格取得サポートの充実により、離職率が低下しました。

人材育成を成功させるためのポイント

人材育成を成功させるためのポイントはいくつもあります。ここでは、特に重要なものについて解説します。

人材育成を行う目的の明確化

手当たり次第に知識やスキルを習得させても、社員は疲弊するだけで、非効率です。大切なのは、自社にとって必要な知識やスキルを習得させることです。そうであれあ、自社の人材育成の目的は何か、どのような人材を育てたいとか、どのようなスキルが必要かといったことをマネジメントや担当者が明確に把握していなければなりません。自社の社風や社内文化、社員のレベルを考えて人材育成計画を立てることが大切です。

目的に適した方法の採用

人材育成の手法は主に3つあると言われます。実務を通しスキルを身につける「OJT」、業務から離れて学ぶ「Off-JT」、社員が自発的に行う「自己啓発」です。しかし人材育成に成功している企業は上記の事例でもわかるように、これらの枠組みや縛りを超えさまざまな方法を柔軟に取り入れています。メンター制度、コーチング、1on1ミーティング、MBO(目標管理制度)など、自社の目的に最適なものを取り入れれば、独創性のある人材育成計画が立てられるでしょう。

社員に「学び」の機会を与え、一人一人の意識改革や主体性の向上・発揮を促進

業務改善には社員の主体性、「自分ごと」として捉える意識が大切ですが、人材育成も同じです。社員が自発的に学ぶことで成長や成果は実現できます。そのためには、例えば次のような環境を企業が提供することが大切です。

  • 自ら考えて選択する場面を作る
             
  • 企業のビジョンなど目的意識を共有する
             
  • 何かに取り組ませる前には前向きな動機付けをする
             
  • 自由に意見を表明する場をセッティングする

社員の意欲・熱意・才能を尊重し、最大限に活かすサポート

社員の意欲・熱意・才能を尊重し、学びや対話の機会をつくり、チャレンジを支援している企業が、人材育成に成功します。社員の意欲や熱意を引き出し、目的に向かって並走することが上司の役割です。配置や研修についても、社員の希望を重視することが望ましいと考えられます。

現状の分析をもとに育成方法を設計している

上層部である経営陣と現場メンバーとの間で、人材育成に対する価値観や目線を合わせることが重要です。組織が大きくなればなるほど、階層ごとに見えるものが異なります。そのため求める人材育成もズレやすいのです。大切なのは、経営層や上層部がまずは現場のニーズに耳を傾け、意見を吸い上げることです。現状を的確に分析したうえで、策定した育成方法であれば成功しやすいでしょう。

まとめ

人材育成の成功率は課金額に左右されるものではありません。効果的に行うことで、自社の従業員の能力やスキルを最大限に活かすことができるのです。時間と労力をかけて確保した人材に、その能力やスキルを活かし企業に貢献してもらうため、最適な人材育成をしっかりと行うことが企業に求められているのです。

この記事でわかることは、次のとおりです。

  • 人材育成とは
             
  • 人材育成の目的
             
  • 人材育成の手法
             
  • 人材育成の成功事例
             
  • 人材育成成功のポイント
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次