【vbaを活用して業務改善に取り組もう】 vbaでできること、メリット、使い方、活用事例など

日常的にExcelを使用している人の中には、【vbaで業務改善できる】という話を耳にしたことがあるが、具体的にどのような業務改善ができるのかがわからないという人が多いのではないでしょうか。「すごいプログラム」「便利なコード」「現場の日常の仕事で使えるマクロ」といった噂は流れてくるものの、実際にvbaで自動化がすらすらできる人はまだ少ないのが現状です。

vbaを活用すれば、自動化して工数を削減でき、単純作業に使う時間が減る、またはなくなります。この記事では、日常的にExcelを使っていて業務改善したいと思っている人、VBAで業務改善したいと思っている人のために、次の点について解説します。

  • vbaとは何か
  • vbaで何ができるのか
  • vba活用のメリット
  • vbaで業務効率化した事例
  • vbaの学習法
目次

 vbaとは

vbaとは、Visual Basic for Applicationsの略語です。エクセルvbaと呼ばれることもあります。Excel、Word、PowerPointなどオフィス仕事で馴染みが深いMicrosoft Officeシリーズ専用のプログラミング言語で、「機能拡張」「作業自動化」するために利用できます。具体的には、エクセルの全ての動作を自動化したり、ワード、パワーポイント、Outlook等と連携させ、複数アプリをまたいで作業することもできます。またWebから自動で情報収集することもできるというすごいプログラムで、デスクワークなどの仕事で使えるマクロなのです。

vbaを使って業務効率化のためにできること

まずはvbaを使ってできること6つをご紹介します。どれも大幅な業務効率化が期待できます。

エクセル作業を自動化

vbaの下記の機能を活用すれば、エクセルで行う請求書やリストなどの書類作成、様々な関数処理、集計作業などほとんどの業務が自動化できます。

  • エクセル内作業をマクロでショートカットキー化
  • エクセル内の複数シートのデータを1つにまとめる
  • SUM関数やIF関数、Vlookup関数等の関数を作成
  • データを月別にシートに分ける
  • 特定の文字数が含まれるセルを自動カウント
  • 表内の自動チェック機能
  • 表内のデータにおいて複数条件に合致したデータのみを抽出
  • 表やグラフを自動作成

ワードやパワーポイント作業を自動化

Microsoftの他のアプリであるワードやパワーポイントと連携し、資料作成の自動化もできます

  • エクセルのデータからパワーポイントにグラフを自動貼り付け
  • エクセルの内容からワードで送付状を作成
  • エクセル表をワード資料に自動貼り付け
  • エクセル表からワードにデータを差し込みし印刷・PDF化

インターネット情報の取得を自動化

インターネットから自動で情報取得するために活用することもできます。

  • 文章をGoogle翻訳にかける
  • WebサイトのH2タグの内容をエクセルに出力

Outlookメール作業を自動化

Outlookと連携させメールに関する自動化も可能です。メルマガや定期的な一括送信などの業務が効率化できます。

  • メールの自動作成・送信
  • メールに複数の添付ファイルを送信
  • 時間指定の自動送信・配信
  • メルマガシステム

PDF資料を操作を自動化

エクセルで作成した資料をPDF化するだけでなく、PDFの読み込みや自動印刷もできます

  • エクセルから請求書等を作成しPDFで出力
  • PDF資料を読み込みテキスト抽出・エクセルへ一覧化
  • フォルダ内のPDFを一括統合する
  • フォルダ内のPDFを順番に自動印刷

フォルダ操作の作業を自動化

フォルダ内のファイルの一括操作ができます

  • フォルダ内のフォルダ名・ファイル名を一括変更
  • フォルダ内のエクセルファイルを1つにまとめる
  • フォルダ内のフォルダ数・ファイル数をカウントしエクセルに記述
  • フォルダ内の特定ファイルやフォルダを一括削除
  • フォルダ内のファイル名を一括取得

vbaを利用するメリット

次にvbaを利用するメリットを3つ紹介します。

単純作業の自動化

エクセルを使う作業は、入力や集計といった単純作業が多いです。このような単純作業や反復作業は、時間がかかるだけでなく、人為的ミスも起こりやすいという問題点があります。vbaを使えば、 こういったエクセルの単純作業をほぼ自動化でき、入力ミスで怒られる、作業をやり直すといったストレスがなくなります。請求書作成や日報作成など、必須かつ定期的に行う作業も多いので、これらが自動化されれば作業時間の大幅な短縮に繋がり、確実に業務効率化が実現できます。無駄な単純作業や暇つぶしと化している無駄な作業をいかに自動化、省略、効率化していき、代わりに今まで手が回らなかった分野に有効に人的リソースを割くかが、これからの時代、重要になります。

比較的難易度が低いプログラミング言語

まだできる人が少ないため難易度が高いと思われがちですが、vbaはC言語やJavascriptなどその他のプログラミング言語に比べ、難易度が低く、習得の労力や時間が少なく済みます。現時点で扱える人がいなくても、取り入れやすいのです。またオフィスで汎用されているMicrosoftの機能なので、学習開始に特別な準備が必要なく、社員誰もが取り組むことができます

導入コストが低い

元々Microsoftに備わっているので、導入にあたって新しいソフトやシステムの購入が不要です。費用がかからず、どんな部署や業務でも適用できる汎用性の高さは、非常に魅力的です。いくらすごいプログラムでも、コストパフォーマンスに見合わない業務改善提案は怒られるのが関の山です。

vbaのデメリットや課題

非常に有用性が高く魅力的なvbaですが、デメリットもあります。導入時にはこれらを理解しておくことが必要です。大きく分けて3点のデメリットがあるので、順に解説しましょう。

vbaを活用するには知識が必要

VBAやマクロは、MicroOfficeに元々備わっている機能です。しかしながらそれでもプログラミング言語である以上、いきなり誰でもができるようなものではありません。自動化ツールを作成するためには、一定の知識とスキルが必要です。運用後も、バグが起こったり改変が必要になったりすることはあり得ます。そのため、vbaを導入するのであれば、vbaを扱える人を複数、社内で養成する必要があります。

膨大なデータ処理には向かない

vbaは膨大なデータを読み込むような作業には向きません。データ処理に時間がかかってしまいます。例えば100万件などの情報を扱う場合には、マクロではなくAIなどの活用が適しています。またvbaにも一部、インターネット上の情報収集機能がありますが、本格的に情報収集をしたいのであれば、Pythonの方がライブラリが豊富なので優れています。

アプリケーション開発には向かない

vbaはデータの処理作業が得意です。そのため、デザイン面の構築には優れていません。デザイン性を重視するようなアプリケーションの開発をするのであれば、vbaは適しません。

使い方の手順

vbaはプログラミング言語ですが、コーディングする前に、次の作成ステップを頭に入れて、効率的に進めましょう。

必要な機能を一覧にする

まず、業務を効率化するにあたって、必要な機能を書き出します。例えば、勤務時間の管理に関する自動ツールを作成したいのであれば、次の機能が必要でしょう

  • タイムカードの登録
  • タイムカードデータの取り込み、
  • 残業時間を抽出、計算
  • 計算書をPDFで出力など

業務フローに沿って、業務改善可能な部分を見落とさないよう、ピックアップしていきましょう。

作業ビジュアルのイメージ

少しわかりにくい言葉になりますが、望んでいる自動化機能を動かすためには「何を選択して設定すればよいのか」を考えます。上記と同じく労働時間管理ツールを作成すると仮定すると、次のような情報が必要になります。

  • 社員番号
  • 何月何日から何月何日まで
  • 超過時間数

具体的な作業フロー

開始から完了まで具体的にどのようなフローで作業を行うかを書き出します。この各作業を自動化します。

  • 入力したデータを読み込む
  • 必要項目に抜けがないか入力データをチェック
  • エクセルに取り込んだデータを書き込み
  • 登録完了メッセージの表示
  • PDF出力

具体的な作業ステップを明確にすることが、抜けやミスを防ぎます。

実践手法とベストプラクティス

VBAの実践手法とベストプラクティスについてご紹介します。VBAは業務改善や効率化に役立つ強力なツールですが、正しい手法やベストプラクティスを知らずに使うと効果を十分に引き出せないこともあります。VBAの実践手法やベストプラクティスに焦点を当て、コードの構造化、エラーハンドリング、パフォーマンス最適化、セキュリティ対策などのポイントを紹介します。VBAをより効果的に活用し、業務プロセスの改善に貢献するための情報をお届けします。

コードの構造化とモジュールの分割

VBAの効果的な活用には、コードの構造化とモジュールの分割が重要です。コードを適切に構造化することで、可読性と保守性が向上し、開発効率も高まります。モジュールの分割により、機能ごとにコードをグループ化し、再利用性を高めることができます。また、関数やサブルーチンの使い方にも注意し、コードの再利用性と拡張性を考慮しましょう。コードの構造化とモジュールの分割は、VBAプログラムのメンテナンス性と品質向上に貢献します。

エラーハンドリングとデバッグ

VBAの開発において、エラーハンドリングとデバッグは欠かせない要素です。適切なエラーハンドリングを実装することで、プログラムの安定性と信頼性を向上させることができます。エラーが発生した際に適切な処理を行うことで、ユーザーエクスペリエンスを向上させます。また、デバッグツールやログ出力などを活用して、コードの実行時に発生する問題を特定し、修正することが重要です。デバッグの過程でコードの挙動を理解し、効率的な開発を行いましょう。エラーハンドリングとデバッグは、VBAプログラムの品質管理とバグの早期発見に役立ちます。

パフォーマンスの最適化

VBAプログラムのパフォーマンス最適化は、効率的な処理と高速な実行を実現するために重要です。コードの最適化には、不要なループや冗長な処理の削除、変数の効果的な利用、キャッシュの活用などが含まれます。また、リソースの効率的な管理やメモリの適切な使用も重要な要素です。プログラムのパフォーマンスを向上させることで、処理時間の短縮やシステムの負荷軽減、ユーザーエクスペリエンスの向上を実現します。適切な最適化手法を選択し、VBAプログラムのパフォーマンスを最大限に引き出しましょう。

セキュリティ対策

VBAプログラムのセキュリティ対策は、機密性やデータの保護を確保するために不可欠です。まず、コードの保護を行うことで、不正な変更やコピーを防止します。パスワードの設定やコードの暗号化などが有効な手段です。また、信頼できるソースからのみマクロの実行を許可する信頼性の設定も重要です。さらに、入力の検証やデータの暗号化など、データのセキュリティも考慮しましょう。セキュリティ意識の向上や定期的なアップデートの実施もセキュリティ対策の一環です。適切なセキュリティ対策を講じることで、VBAプログラムのセキュリティレベルを向上させましょう。

実際に業務改善したvbaの活用事例

実際の現場でvbaを活用し、どのように業務改善しているのか事例を紹介します。既出のものもありますが、今一度、vbaを活用しての業務改善を整理した例文集として目を通しておくことをおすすめします。

レポート作成の自動化

レポート作成は大量のデータを集めてまとめる作業でかなり時間がかかり、頭を悩まされます。ですがvbaを活用すれば、自動化が可能です。レポートに使うデータは形式が決まっているものが多く、作業もパターン化されているため、VBAによる自動処理に向く作業です。

人の手で行う作業はデータの準備と最終チェックのみになり、大きな作業効率化が期待できます

データの自動転記

事前リサーチや資料作成のため与えられたデータや資料の中から必要なものを抜き出しまとめる、複数のファイルをひとつにまとめる、報告書の一部を抜粋するといった転記作業は、vbaが得意とするところです。データから条件に合うものを抽出し、簡単にリスト化できます。

Microsoft Officeシリーズ間の連携


連携させることで、ExcelのデータをPowerPointに挿入したり、Access管理しているデータをもとにExcelでグラフを作成したりできます。これらは業務効率化に大きな効果があります。

請求書の自動作成

請求先作成には、情報データのコピー、数値の入力など多くの単純作業が伴います。vbaを活用すれば、大部分の作業が自動化できます。必要なデータがテキストファイルなどに保存されていれば、読み込ませて請求書を自動作成可能です。

メールの一括送信

ExcelとOutlookを連携させれば、Excelシート内のメールアドレスへの一括送信ができます。似たような内容のメールを一件ずつ送るのは非常に手間です。メールの一括送信は複数の取引先を持つ企業にとり、非常に便利な機能です。

Webデータの自動収集・分析

天候情報、店情報、営業時間、他社製品の値段を収集するといったWebサイトからのデータ収集業にvbaを使えば、Webサイトへのアクセス、ログイン、データ収集が自動化できます。

文字列の一括置換

文字列をまとめて置換する作業は日常的にありますが、何十回と繰り返す場合、無駄な労力です。vbaを利用すれば、指定した文字列を希望の文字列へまとめて置換できます。

エクセルマクロvbaを扱うために必要な技術と学び方

vba自体はそれほど難易度が高くないプログラミング言語ですので、外部委託しなくても社内でvba取扱者の育成が可能です。自学で必要な知識を得られますので、学習方法を4つ紹介します。

vba入門書

メリットは情報量が多く、網羅的な学習ができる点です。一方、文字からの学習は、視覚的な理解の点で劣ります。あまり難しいものは初心者には向きません。読みやすそうなものから始めてみて下さい。

動画コンテンツ

YouTubeなどの動画サイトに、vbaの学習コンテンツが少なからずあります。無料で視聴でき、すぐにでも始められます。また実際の操作画面を視聴できることも、視覚的な理解が進むことがメリットです。反対にデメリットとしては、順を追って網羅的、体系的に学習構成されていない点です。これではvbaの全体像を理解するのは難しいでしょう。書籍で体系的な基本知識を身につけ、ピンポイントで強化したい部分の解説動画を探し理解を深めるのが効果的です。

学習サイトの利用

学習サイトは書籍同様に網羅的な学習内容になっていることが多く、初心者にもわかりやすい体系になっています。書籍と異なり、コンピューター上で実際に動かすこともできます。無料学習サイトも多く、手軽に、かつ効果的に学習に取り組めます。

資格取得

「vbaエキスパート」という資格があります。Excel・Accessのvbaスキルを証明する資格ですので、この資格取得の勉強をすればvbaの基本スキルが身に付きます。但し、オンライン講座を通じた学習などは、金銭的な負担が大きくなりやすいのがデメリットです。

まとめ

日常的にデスクワークで利用されるExcelをはじめとしたMicrosoft Officeの作業は、vbaを活用すれば劇的に業務改善できる可能性があります。便利なコードで、他のプログラミング言語に比べれば習得が容易であるにも関わらず、まだできる人が少ないので、身につけ活用するなら今がチャンスだと言えるでしょう。この記事では、次の項目について解説しました。

  • vbaとは何か
  • vbaで何ができるのか
  • vba活用のメリット
  • vbaで業務効率化した事例
  • vbaの学習法
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