時代の流れやビジネスのトレンドの変化が激しい昨今では、消費者が求めるニーズも日々変化しています。
そうした状況の中では、多くの企業が時代に合った新規事業の立ち上げに取り組むというのも必然的なことでしょう。
時代に合った新規事業を展開できるかどうかは企業の今後の存続に関わってくると言っても過言ではありません。
本記事では、新規事業成功例の特徴や実際に成功した事例をご紹介していきます。
新規事業成功例を知る前に知っておきたい新規事業導入のメリット
まずは新規事業を導入することで、そもそもどのようなメリットを得ることができるのかを見ていきたいと思います。
新規事業に取り組み成功に導くためには、それにより得られるメリットを把握しておくことが大切です。
それにより、より情熱を持って明確なアクションが起こせることでしょう。
ここでは、新規事業で得られるであろう3つのメリットをご紹介します。
- 社会情勢の変化に対応
- リスク分散
- ブランディング
社会情勢の変化に対応
前述したように、昨今は社会情勢が驚くべきスピードで変化しています。
インターネットやSNSの進化はもちろんのこと、コロナウイルスの感染拡大やロシアのウクライナ侵攻などに代表されるように、特に近年では社会情勢が大きく変化しています。
また、日本国内に目を向けてみても、グローバル化による競争の激化や少子高齢化による労働人口の減少など、情勢の変化は顕著であり、今後もこれは加速していくでしょう。
そのような環境下で、企業が長年にわたって生き残っていくためには、時代のニーズに合わせた新規事業を導入することが非常に重要です。
リスク分散
既存事業一本で会社を経営していくにはあまりに不安定な時代です。
既存事業と新規事業の2本の柱で会社を経営することにより、どちらか一方の事業の業績が悪化したとしても、そうではない事業の方で支え、業績を維持、もしくはアップさせることができるかもしれません。
情勢のニーズに合った新規事業を導入することによって、このようにリスク分散をすることができます。
ブランディング
新規事業を始めるということは、今まで関わることのなかった取引先や消費者と新たに関わる大きなチャンスでもあります。新規事業を成功させることができれば、その分自社の知名度が上がり、多くの企業や消費者に自社の商品やサービスを知ってもらうことができます。
企業の知名度が上がるということは、それだけ優秀な人材が集まりやすくなるという利点もあります。
優秀な人材が集まるということは、それだけ企業の生産性や売り上げ上昇に繋がるため好循環が生まれます。
新規事業成功例の5つの特徴
実際に企業が導入し成功している新規事業にはいくつかの共通点があります。
ここでは新規事業を成功に導く5つの特徴をご紹介します。ぜひ自社で新規事業を導入する際に、これらの特徴を持っているかを確認してみてください。
- 時代のニーズに合っているか
- 競合ができるだけいない市場であるか
- ターゲットが明確であるか
- 売れる仕組みを構築しているか
- 人材育成の環境づくりができているか
時代のニーズに合っているか
すでに述べたように、消費者のニーズというのは時代の流れに合わせて常に変化していくものです。
そのため、ほんの一つの出来事でニーズが急激に増えたり減ったりもします。
実際に新規事業を導入する際には、しっかりと今後の社会情勢の未来を見据えて、今後の需要が確実に見込まれるものである必要があります。
そうでなければ、いくら新規事業に参入したとしても早期の撤退を余儀なくされる可能性があります。
実際に導入する前に、情勢を分析し今後の動きをある程度予測することが必要不可欠なのです。
競合ができるだけいない市場であるか
仮に調査の上ニーズが見込まれる市場だとわかったとしても、もし競合が非常に多い市場であった場合には、そこで成功を収めることは簡単なことではありません。
ましてや、すでに既存事業としてその業界で成功している企業を相手に戦うのは容易ではないでしょう。
新規事業として参入するからには、一から内容を作り、市場での認知度を上げ、消費者にしっかりと届く仕組みを作らなければなりません。
したがって、可能な限りいわゆるブルーオーシャンの市場を見定めて事業を導入することが必要です。
ターゲットが明確であるか
ブルーオーシャンの市場を見つけるためには、ターゲットを明確にすることが必要です。
たとえば、あるサービスや商品に関して、ターゲットを「若者」とすると、ターゲットの幅が非常に広く、その分競争相手の数も多くなります。
若者の中でも「職業」「趣味」「ライフスタイル」などでカテゴライズすることにより、競合の少ない市場をあぶり出し、その市場で新規事業を立ち上げることができます。
さらに、ターゲットを明確にすることによって、効率的なマーケティング活動も行いやすくなります。
昨今では、商品やサービスそのものよりもマーケティングのほうが重要だと言われることが多くなっています。
目標とする売り上げを達成するためにも、ターゲットを明確にした上でのマーケティングは欠かすことができません。
売れる仕組みを構築しているか
ターゲットとなる顧客層を明確にしたら、次に自社の製品やサービスをそのターゲットの手元に届き易くする仕組みを整える必要があります。
当たり前のことですが、いくら良い商品やサービスであったとしても、消費者の目に触れたり手元に届かなければ宝の持ち腐れになってしまいます。
自社の製品やサービスがそれを求めている顧客に確実に届くよう、製品やサービスの供給方法、価格などに関する環境を最適化するよう努めましょう。
人材育成の環境づくりができているか
新規事業を成功させるための重要な要因の一つに、人材育成とモチベーションの向上が挙げられます。
なぜなら、その事業に適した人材と事業に対する情熱というのは必要不可欠なものだからです。
そのため、チームの中で自身の役割を認識し、その責任を自覚できる人材を育成、教育する必要があります。
新規事業を導入するにあたっては、新たな人材の採用、または適材適所の部署移動などが求められます。
また、新規事業を導入することによって、従業員の新たなスキルの発見や向上など、従業員にとっても大きなチャンスが生まれる可能性があることもメリットとなります。
新規事業の成功例
新規事業を導入し成功させることは決して簡単なことではありませんが、実際に新規事業に参入し成功を収めている企業も多くあります。
ここでは、その中から読者の方の参考になるかもしれない成功事例を3つご紹介します。
- 富士フィルム
- ホンダ
- スープストックトーキョー
富士フイルム
富士フイルム株式会社といえば、その名の通り元々写真フィルムのメーカーであり、みなさんもその印象が強いかと思います。
しかし、カメラの記録媒体がメモリーカードに移行するにつれて、写真フィルムのマーケットは縮小を余儀なくされました。そんな中、富士フイルムは新規事業への参入を考えなければならない状況に直面することになります。
様々な試行錯誤の結果、富士フイルムは化粧品という本業とはまったく毛色の異なる業界に参入することを決断したのです。一見すると不可能にも思えるこの参入ですが、素材の粒子を細かくするという化粧品にも共通する技術を富士フイルムは持っていました。
実は肌の角質とフィルムのサイズが同じマイクロメートルだったということもあり、技術の転用が可能だったのです。
既存の経営資源の価値を、技術的な側面から新たに追求したことにより、有効活用できるマーケットで新製品を生み出すことに成功した事例といえるでしょう。
ホンダ
本田技研工業株式会社の「ホンダジェット」は、2015年に発売を開始した小型ジェット機で、2021年には5年連続で納入数第一位を記録しています。
ホンダ独自のエンジンを搭載することにより、従来のジェット機よりも燃費が良く、速度や操作性も高いのが特徴です。
また、値段も比較的安いというところが人気の要因の一つでもあります。
自社の技術を最大限活用するだけでなく、コロナ禍での新たな移動手段の需要など、時代に合わせたニーズをキャッチした成功例の一つです。
また、人気ロックバンドとCMでタイアップをし、2018年上半期で最も再生された広告になるなど、マーケティングにも力を入れて成功した例でもあります。
スープストックトーキョー
スマイルズが運営する「スープストックトーキョー」は、三菱商事の外食サービス事業部に所属する遠山正道氏が、首都圏で働く若い女性をメインターゲットに社内ベンチャーとして立ち上げました。
スープというと、どうしてもメインディッシュのおまけというイメージが強いかもしれませんが、それを敢えてメインとして扱っているのがスープストックトーキョーの特徴です。
店の内装にも拘っており、白を基調とした店内は清潔感があり、女性が過ごしやすい環境づくりを徹底しています。
女性にとっても嬉しいカロリーや栄養値の表記もあり、無添加素材へのこだわりも大きな特徴です。
このように、メインターゲットをしっかりと定め、そのターゲットの需要をとことん追求したことで成功した事業の良い例です。
まとめ
本記事では、成功している新規事業の共通の特徴を見つつ、実際に成功している企業の事例もご紹介しました。
新規事業を成功させるための絶対的な手段というものはありませんが、成功に導くための方法は成功例を見ても分かる通り様々です。
既存事業で得たノウハウをしっかりと活かしつつ、実際の成功例を参考にして独自の新規事業成功への道筋を立てていただければと思います。