【新規事業の評価はどのようにすればいい?〜新規事業評価の方法とポイント〜】

みなさんは新規事業の評価を行う際にどのような方法やフレームワークを使って行っていますか?なかなか評価軸が定まらず、既存事業の評価軸をそのまま転用して使っているという企業の方も多いのではないでしょうか?

しかし、新規事業と既存事業では基本的に挑戦している領域が違うパターンがほとんどですし、既存の事業を発展させていくのと、ゼロから新しい事業を生み出すのでは考え方や手法もまったく違ったものになるでしょう。したがって、それぞれ異なる物差しで測る必要があるのです。

本記事では、新規事業を評価する際の方法とその際に役立つフレームワークについて解説していきます。これから新規事業を始めようとしている方、今新規事業の評価方法について悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

■新規事業の評価が難しい3つの理由

—なぜ新規事業の評価が難しいのか、その理由を3つご紹介します。

■新規事業における3つの評価ポイント

—新規事業を評価する際にどのような点に注目して評価をするべきなのでしょうか。新規事業評価で注目すべき3つのポイントについて解説します。

■新規事業の成否を見極める評価ポイント「事業性」と「市場性」

—新規事業を評価する際に大事な観点である「事業性」と「市場性」について解説していきます。

■まとめ

目次

新規事業の評価が難しい3つの理由

冒頭でも述べたように、新規事業をどのようにして評価すれば良いのか悩んでいる方は多いかと思います。まったく新しい評価軸を作るべきなのか、それとも既存事業の評価軸を転用しても良いものなのか、など、その理由は様々かと思います。

ここでは、新規事業の評価が難しい主な理由を3つご紹介します。

適切な評価項目がない

一つ目の理由は「適切な評価項目がない」ということです。適切な評価項目がなければ、アイデアやプランの精度を高めることは容易ではありません。また、実際に事業として立ち上げるための投資などを行うべきかという判断もできなくなってしまうでしょう。明確な評価項目を設定しておくことは、新規事業を成功に導くために必要不可欠なことなのです。

検証に必要な仮説が事前に設定できていない

上の評価項目が仮に作れたとしても、事前に仮説が設定できていなければ評価をすることはできません。ではどのように仮説を設定するべきなのでしょうか?

顧客が持っている課題の解決策として「提供価値」や「有効性」の二つにまずはざっくり分類してみましょう。そして、それぞれの前提となる仮説の中で、最優先で検証すべき仮説が何かを洗い出すのが有効です。

実行できる環境が整っていない

評価項目を作り、仮説を立てたとしても、それを実行できる環境が整っていなければ意味がありません。

新規事業は既存事業と違い、過去のデータなどもないのでどうしても不確実なことが多くなります。そのような状況下では、ただでさえ限られた資源を事前のリサーチや分析に使うよりも、検証を実行するプロセスに使った方が失敗の可能性を下げることができるでしょう。したがって、しっかりと評価を実行できる環境づくりを整えることが大切なのです。

あらかじめリソースや体制などをきちんと確保しておくこと、必要な場合には外部のリソースを活用することも求められることになるでしょう。

新規事業における3つの評価ポイント

新規事業を評価する上で大切なポイントが3つあります。評価ポイントをしっかりと押さえていなければ、たとえ評価軸を作ったとしても的外れな評価をしてしまう危険性があります。

ぜひここでご紹介するポイントを目安に、自社の評価基準の参考にしてみてください。

ニーズ

新規事業を立ち上げる上で最も重要なポイントの一つが「ニーズ」です。顧客のニーズが掴めていなければ、いかに良い商品やサービスを作ったとしてもそれが期待通り売れることはなかなかありません。しかも、それが革新的な商品やサービスである場合には、馴染みがなく、顧客に受け入れられないことも考えられます。さらに、既存の商品やサービスに満足していれば、わざわざ新しいものに手を出そうとはせず、関心も持たれないケースも多いでしょう。だからといって、技術やサービスありきで商品を設計していくと顧客ニーズを見落としてしまう危険があります。

そのため、「商品を購入する顧客のイメージ」「そのイメージできる顧客はどれぐらいいるのか」「本当にそのような顧客はそのニーズを持っているのか」などについて考えることが重要です。自分が欲しかったり、あれば良いと思っているというところからアイデアをスタートさせるのはもちろん構いませんが、事業では収益を生まなければならないので、実際の世間のニーズに沿っているのかというのは大きな評価ポイントになります。

何が顧客側のハードルになっているのか

新規事業と顧客との間にあるハードルについて考えることも重要な評価ポイントとなります。上述したように、新しいものや革新的なものを前にすると、多くの人にとってはイメージがしにくく、どうしてもリスクの方を考えがちです。ただし、導入前に問題点がはっきりしていれば、検討の余地もあり導入もしやすくなるかもしれません。

「なぜ顧客がその商品やサービスを購入しないのか」その理由を追求することがとても大切です。そもそもニーズがずれているのか、そうでない場合には金銭面など他の問題も考えられるでしょう。顧客にとってのハードルが何なのかをしっかりと考えるようにしましょう。

実現性

実際にその新規事業は実現可能なのかどうか、もしくは目標を達成することができるのかどうかという実現性も評価ポイントの一つとなります。実現性というのは、そもそも技術的にそれが可能なのかどうかというのもありますし、ベンチャー企業であれば実現するだけの資源があるのかどうかというのも考慮する点になるでしょう。

前者であれば、現在の技術で可能なのかどうかもそうですが、それよりも「科学的、論理的に可能かどうか」という点に注目するのが良いでしょう。後者であれば、ベンチャー企業に多くみられがちですが、開発期間があまりに長すぎると、実際に市場に出す前に資源を使い果たしてしまうということも起こり得ます。ただし、ニーズがあるという確証があれば、あきらめてしまうのはもったいないので、「どうしたら実現可能なのか」という点を徹底的に考えるようにしましょう。

新規事業の成否を見極める評価ポイント「事業性」と「市場性」

上で紹介した評価ポイントに加えて、ここでは「事業性」と「市場性」について解説していきたいと思います。評価という観点から考えてみたときに、この二点は新規事業の成否を判断する上で非常に重要な観点になってきます。ぜひこの二点を参考に事業の成否を客観的に判断できる目を身に付けましょう。

「事業性」の2つのポイント

利益は上がっているのか

企業である以上利益を生み出すことは最低条件です。利益が出ていないのであれば、企業として存続していく意味がなくなってしまいます。もし、その事業が赤字続きで企業の定めた最低ラインを下回ってしまっているのだとしたら、その事業は失敗と言わざるを得ないでしょう。

ただし、赤字は赤字でも会社への「貢献利益」が黒字なのであれば、事業存続の意味はあると考えられます。貢献利益とは、会社の売上高から、それぞれの単位ごとに原価や利益を差し引いて算出した利益のことを指します。

貢献利益が黒字なのであれば、少なくともその事業にはニーズがあるということになるので、経費削減などの工夫をすれば、営業利益が黒字化する可能性があるので、そこを考慮に入れて評価することが大切です。

組織として機能しているか

一般的に、倒産してしまうような会社は組織として機能していないことが多いです。組織として機能していなければ、もちろんそれは直接業績にも関わってきます。

組織として機能していない会社というのは、例えば従業員が常に会社に対して不満を持っていて、そうなればもちろん社員が定着しないので入れ替わりが激しくなります。

一方で、組織が機能している会社の場合、多くの従業員が「この会社に貢献したい」と考えているので、社内にはポジティブな雰囲気が生まれ、自然と業績も上がりやすくなります。さらに、一人ひとりの従業員の役割も明確なので、作業工程にも無駄がなくなるのです。

「市場性」の2つのポイント

扱っている商品やサービスにペインポイントはあるのか

「ペインポイント」というのは、「お金を払ってでも解決したい悩み・痛み」のことを指します。つまり、この痛みを取り除くためならお金を払うことも厭わない、というニーズがあるかどうかということです。

もしその事業が生み出す商品やサービスがこのペインポイントをしっかりと捉えているのであれば、顧客はお金を出してでもそれらを購入してくれるでしょう。

自社が行っている事業がそこまで顧客の心理を深掘りできているのかということをもう一度考えてみましょう。もしそのような商品やサービスを展開できているのであれば、その事業は成功していると評価しても良いのではないでしょうか。

競合に対しての優位性があるか

事業を展開していく上で、「競合他社に対しての優位性があるかどうか」というのも大きな評価ポイントの一つです。競合が他にいないようなブルーオーシャンかつニーズがある市場を見つけることができればそれに越したことはありませんが、ほとんどの場合競合と戦っていく必要があるのがビジネスです。

とはいっても、どこまでの優位性を求めるのかというのは企業によって様々でしょう。純粋に市場でトップを保てれば良いのか、それとも圧倒的なシェア率を誇っていなければ成功とは見做されないのか。独自性というポイントを何よりも大切にしている企業もあります。そういった企業の場合には、競合他社と差別化ができていなければ、事業失敗と考えることになるでしょう。

自社が市場においてどのような存在でありたいのかということをしっかりと把握し、それを踏まえて事業についても評価することが重要です。

まとめ

本記事では新規事業を評価するための方法やポイントについて解説をしました。いくら良いアイデアの新規事業を立ち上げたからといって、それだけで会社の利益に繋がるとは限りません。

もちろん、今回解説した方法やポイントを踏まえたからといって、100%売れる商品やサービスが生み出せると断言することもできません。しかし、明確な評価軸を持つことが新規事業の成否に関わるというのは間違いありません。

ぜひこの記事を参考に、みなさん新規事業の評価方法について考え、成功への一つの指針としていただければ幸いです。

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