最近では、市場の変化に対応すべく、新規事業を通して新しいマーケットに参入したり革新的なビジネスモデルを武器に新規事業を立ち上げる企業が多くなってきました。
ですが、全ての新規事業が成功するという訳ではありません。
そこで今回は、新規事業がなぜ失敗するのか、成功する確率を上げるためのポイントを解説します。
解説のポイントをおさえることでより目標達成に近づけるようなアクションを取ってみましょう。
新規事業が失敗する理由
新規事業が失敗する理由にはさまざまなものがあります。
新規事業に失敗する理由は主に以下のものがあります。
- 意思決定の遅さ
- 専門知識がない人が多い
- チームのモチベーション
- リサーチ不足
- 資金不足
- 撤退ラインを引いていない
意思決定の遅さ
新規事業において検証と改善を繰り返すことは、成功の確率を上げる手段と言えるでしょう。
ですが、新規事業では他の部署と連携し確認する作業が入ったりすることで、検証と改善のサイクルをスピーディに行うことが難しい場合もあります。
また、リーダー格のメンバーが何人もいると指揮系統に混乱が生じ下に着くメンバーの作業の遅延が想定されます。
そのため、意思決定に必要な人数を決めることで迅速な意思決定ができる環境を作ることが重要です。
専門知識がない人が多い
新規事業は予算が限られており、決まった人数でしか進めることができません。
そのため、労働量で補うことができず「質」で新規事業を進めることが求められます。
例えば、新規事業において必要な専門知識を挙げると
- 分析
- 営業
- マーケティング
- プログラミング
があります。
特に、プログラミングの知識は短期間では伸ばすことが出来ないため、しっかりとしたエキスパートを集めることが重要でしょう。
新規事業において、専門知識のないメンバーを集めてしまうと調べる作業が入ることによる効率の悪さが問題点となります。
そのため、専門知識や新規事業の立ち上げ経験のあるメンバーを集めることで効率よくスピーディーに新規事業を進めることを心がけましょう。
チームのモチベーション
新規事業では分からないことが多く成功が見えてこない場面もあるでしょう。
例えば、チームの雰囲気が悪くなり進捗が滞ったり、最悪の場合メンバーが抜けてしまうといった影響が考えられます。
そのため、チームのモチベーション維持のために定期的に個別にミーティングをして問題点を聞き出してみたりとメンバーの意見を見える化することでチームのモチベーション維持に繋げましょう。
また、チームのモチベーション向上のためには目標設定を行いチームの方針を決めることや全てのことに共通していますが物事の解像度を高めることがとても重要です。
リサーチ不足
新規事業を進める上で一番大切なのは、市場の状況や競合を調査することです。
市場を調査することで顧客のニーズに合っているのか、市場に受け入れられているのか
PMF = Product Market Fit(プロダクトが適切な市場に受け入れられていること)
を考える上でとても重要です。
PMFを達成することは事業を行う上で一番最初のゴールと言えます。
しっかりと顧客のニーズに合ったものが作れているか、ユーザー調査や市場調査、競合調査等リサーチは事業を行う上で最重要と言えます。
例えば、競合調査ではどのような独自性があるのかを考えることで曖昧な部分を明確にすることが出来ます。
その他にも、ユーザー調査では実際に顧客のインサイト(本音)を知ることが出来るためニーズを捉える上でとても重要です
しっかりとリサーチをすることで失敗する確率を下げる心がけをしましょう。
資金不足
新規事業では使える資金が限られています。
実際にニーズがあるのにも関わらずマーケティング費用や業務委託費用が売上に見合うものではない場合は失敗の可能性は高まるばかりです。
そのためしっかりと中長期的なスケジュールを組むことでより、スケールする際にボトルネックにならないようなお金の管理を心がけましょう。
もしリーダーにお金に対する知見が欠けている場合は、コンサルタントや専門家にみてもらう事で資金不足に備えましょう。
撤退ラインを引いていない
新規事業において失敗することはありますが、最初に大きな初期投資が掛かる場合や初期に売上が伸びないビジネスモデルの場合は進めていく上でいつまでであれば資金の負担が大きくても返上できることができるのかしっかりと撤退ラインを決めておくことで失敗の定義付けをすることが必要です。
仮説を検証するフェーズでは、小さい失敗が重なるため重大な事業の方向性に関わる失敗を見分ける基準を持っていることで軌道修正を図れるようにしましょう。
新規事業が失敗する確率
経済産業省が行った新規事業においての成功率を調べたデータでは、成功していると答えた企業は29%しかいなかったのです。
そのため、新規事業で成功する確率は3分の1ほどしかないと言うことがわかります。
自信があることは良いことですが、自社であれば大丈夫と思い込むのではなくしっかりと根拠を持つことでより安心性が生まれると共により解像度が高い事業を行うことが出来ます。
また、あらゆるトラブルを想定し、課題解決に対応できるのような環境を作ることで失敗へのリスクを減らしていきましょう。
新規事業の成功確率を上げるためのポイント
新規事業の成功確率を上げるためのポイントは以下の通りです。
- 明確な目標を立てる
- 伸びる市場にアプローチする
- 新しい情報を常に入れる
- チームの構成を考える
明確な目標を立てる
明確な事業の目的や将来的な目標が明確ではない場合はチームの方向性を合わせることや意思決定の時間がかかる傾向にあります。
例えば明確な目標を立てることのできる指標として「KPI」があります
KPIとは業務のパフォーマスを測る指標のことで、目標達成までのプロセスを可視化するために作成します。
例えばKPIで主に書く内容としては
- 売上
- 商談数
- 受注率
があります。
明確な売上、商談数、受注率を決めることで、モチベーション向上につながるとともに分からないことが多い新規事業において明確なゴールを描くことで、意思決定にかかる時間を短縮させましょう。
KPIを明確にすることで目標を決め、目標を達成するための計画を練ることが重要です。
伸びる市場にアプローチする
伸びない市場にアプローチする場合は、社内からの承認を得ることが出来ない可能性やそもそも、売上を伸ばすことが出来ない可能性があるため、新規事業において市場選びはとても重要でしょう。
そのため、アイディアの段階から市場調査を重ねることで、着実に伸びる市場にアプローチしましょう。
市場の調査や競合の調査をすることで成功率を上げましょう。
伸びている市場にはもちろん競合他社がいるのでレッドオーシャンである場合もあります。
ですが、逆に競合がたくさんいると言うことはしっかりと儲かるような仕組みが形成されていると言うことです。
そのため、競合他社がいると言うことは逆に美味しい市場だと捉えましょう。
新しい情報を常に入れる
最近では市場の変化が激しく、常に最新の情報を得ることで、市場の変化に対応できるようにしましょう。
顧客のニーズの変化を捉えるためにも、市場だけの情報ではなく様々な種類の情報を得ることで新規事業の成功確率を上げていきましょう。
具体的にどのようにして、情報を得るのかというと、以下の3つが主に挙げられます。
- セミナーに参加する
- Youtubeで情報を収集してみる
- 海外の情報サイトで検索してみる
アメリカなどの海外の情報サイトで得る情報は特に重要です。
なぜならば、アメリカの市場で起きているビジネスモデル等は2〜3年後に日本でも発達する可能性が大きく迅速に市場の変化に対応するためには海外の情報を得ることで周りと差別化すると言うことが重要だと言えます。
チームの構成を考える
チームの構成を考えることはチームの方針を決めることと同じくらい重要です。
例えば、斬新なビジネスモデルで、顧客のニーズがあるという確証がある場合でもエンジニアの数が少ない場合や意思決定に必要な人数が多すぎる場合はスピーディーに物事を行うことが難しいと言えるでしょう。
そのため、チームの役割分担や意思決定に必要なメンバーをあらかじめ決めておくことでスムーズに動くことのできる環境作りを心がけましょう。
新規事業の失敗例
新規事業の失敗例を確認し、活かしましょう。
- Fire Phone (アマゾン)
- 7 Pay(セブン&アイ)
Fire Phone (アマゾン)
Fire PhoneはAmazonが開発したスマートフォンのことです。
発売当初は注目が集まっていたものの、本体の性能自体が良くなかったことや性能に見合う価格ではなかったことが原因で、レビューの評価や販売価格の低下が目立ち失敗に終わると言う結果を招いてしまいました。
これは、顧客のニーズを把握することや価格での戦略を練ることが出来ていなかったことが招いた結果と言えます。
7 Pay(セブン&アイ)
セブン&アイとはセブンイレブン等を抱える企業です。
セブン&アイはQRコード決済ツールである7Payを開発しましたが、不正アクセスなどのトラブルが原因で2019年にサービスを終了しています。
決済アプリでは特に安全性が重要視されます。
ですが、専門人材が不足していたことが原因で不正利用が相次ぐ事態となりました。
このように専門的な業務を行うことができる人材が不足していると結果として失敗に終わるだけではなく信頼性にも影響が出てしまいます。
新規事業が失敗したその後とは
まず失敗が判明した時に必要なことは、失敗の原因を探ることです。
失敗の理由を探ることで、実際に次に繋げるためにはどのように行動すればいいのか計画を立てることに役立ちます。
撤退基準を過ぎていても、次に繋げることを意識をすることで、新規事業でのノウハウを活かして、既存の事業でも活用したり、再度、新規事業を立ち上げる場合は失敗の経験から学んだことを活かして、事業の成功確率を上げることが出来ます。
新規事業が失敗する理由まとめ
この記事では、新規事業が失敗する理由を紹介し、新規事業の失敗の確率を減らすポイントや失敗した後はどのような対応をすれば良いのか解説しました。
この記事を参考に実際に失敗しないような計画作りやチーム編成を考えてみることで少しでも失敗の確率を減らしてみましょう。
また、新規事業では検証と改善のスピードが大切です。
そのため迅速な意思決定を行うことで、成功する確率を高める工夫を心がけましょう。