フェーズという言葉を使ったことはありますか?
よく会社の状態や段階を言い表す場合に使われる事が想定されます。
この記事ではそのような、「フェーズ」が新規事業においてどの様な役割を果たすのか解説します。
新規事業のフェーズとは
新規事業におけるフェーズとは事業の成長段階のことを言います。
事業のフェーズに分けて事業戦略を考えることで、事業の成長スピードを加速させることができます。
分からない事が多い新規事業においてはフェーズにおける目標やポイントを理解することによって、短期的な目標やタスクを組み立て、効率的に新規事業を行うことを心がけましょう。
また、新規事業は0→1を作る作業であるため、新規事業においてのフェーズ分けと起業においてのフェーズは似ています。
そのため、ここでは色々な視点から、新規事業を成長させるためにはどのようなステップが必要なのか解説します。
新規事業をフェーズごとに捉えるメリット
新規事業の成長段階をフェーズごとに捉えるメリットは、そのフェーズごとに取るべき行動や注意するべきことが明確化されることです。
明確化されることで、スムーズに事業計画を立てることができます。
例えば、新規事業ではわからないことが多く、物事に優先順位を立てて課題を解決していく事が重要です。
そのため、フェーズを分けることにより、手順がわかり、優先順位がつけやすくなります。
また、フェーズごとに注意する点が明確であるため、あらかじめ失敗のミスを防ぐことができます。
実際に自社のフェーズを確認し、これからど様な戦略で事業を成功に導いていくのか考えてみましょう。
新規事業フェーズのポイントを解説
新規事業においてのフェーズを紹介します。フェーズは主に4つに分けられます。
- 事業のテーマ設定
- 事業内容の最終決定
- ローンチ
- テスト
これらのフェーズを理解することにより、自社がどの様なフェーズにあり何をしていけば良いのか考えてみましょう。
それでは、これらの4つのポイントの特徴について解説します。
事業のテーマ設定
事業のテーマを設定するフェーズでは、2つのポイントを押さえるようにしましょう。
- 自社の強みを活かす事ができる
- 事業の拡大が期待できる
事業を進めていく上で自社の強みを活かす事ができない事業は、他社との差別化が図りずらいため自社の強み、弱みを分析して、他社と差別化を測ることができるような事業のテーマが良いでしょう。
また、事業のテーマを決める時点で、スケールする事ができる事業なのか考えてみましょう。
スケールしないビジネスの場合は、売上に上限があることや、ニーズが少ない事が伺えます。
そのため、しっかりとテーマを考える時点から、どれくらいの収益が見込めるのか?を考えることで、新規事業における成功の確率を上げる事ができるでしょう。
事業内容のテスト
事業内容をテストするフェーズでは、アイディアを実際に検証するフェーズです。
「どうしたら売上を伸ばすことが出来るか?」、「本当にニーズがあるのか」
という具体的な内容まで深堀りをしてみましょう。
このフェーズでは実際にユーザーになりうる人たちにアンケートを取ったり、ニーズを数値化する事で、より事業の正確性を上げてみましょう。
この時点で事業が上手くいく目処が立っていないと、スケジュールや具体的なKPIを立てる事ができないため、スモールなサイズでも、しっかりと顧客のニーズを読み取ることが求められます。
また、事業の内容は検証実験を行う過程で何度かピボットする可能性があります。
そのため、しっかりとなぜ自分達はこれを行いたいのか?を考えることで欲しいだけのサービス、プロダクトよりも、問題を解決するニーズが強いことを考慮して事業の内容を確定しましょう。
ローンチ
3つ目に一度ローンチする事です。
ニーズの調査ができ、アイディアの収益性が確認できたら次に一度ローンチして顧客の反応を見てみましょう。
そこで、改善点が見つかったら、改善をしてPDCAサイクルをいかに回す事ができるか考えましょう。
ローンチは特に大きいことではなくMVPを作り検証を行ってみることも重要です。
※MVPとは顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトのことです。
しかし、ローンチすることに重きを置いてしまい、チームでの顧客サポートが充実していないことは失敗へつながるリスクとなります。
例えば、サービスにはニーズがあったものの、安全性が確保されていない場合やサーバーがダウンしてしまうというミスが起きないようにすることもこのフェーズで重要なことです。
同じく、間に合わない様な無理なスケジュールを立てることは、余計にチームの混乱を招きます。
まだ拡大するフェーズではなく、チームの数が足りない場合もあるでしょう。そのため、焦らず、新たな課題が見つかっても対処できる様な計画設定が重要です。
事業の拡大
事業拡大のフェーズでは黒字化・成長性が求められます。
事業の拡大のフェーズで赤字になってしまうケースは多くあります。
そのような場合でも対応できるように、明確な撤退基準を決めることが重要です。
明確な撤退基準があることにより、失敗を長引かせないことでリスクを減らすことが出来ます。
また、黒字化が成功した場合に既存事業の顧客と新規事業での顧客が被ってしまう場合が想定されます。
利益は同じ企業に入って来ますが、被ってしまうことを嫌がる担当者もいるため、何らかの対策を考えておく事が重要です。
新規事業の課題やポイントとは?
この部分では、先ほどとは違い起業でのフェーズを参考に色々なフェーズにおいての課題やポイントを解説します。
新規事業と起業とでは少し取り巻く環境が違うことも考えられます。
ですが、0→1を作る過程は似ているため、ぜひ参考にしましょう。
またこの課題とポイントは以下の4つのフェーズに分けられます。
- 創業機
- 成長期
- 安定期
- 拡大期
創業期の課題やポイント
新規事業を立ち上げるフェーズでは、不安定で予想しきる事ができないような課題が毎回訪れます。
そのため、あらかじめ絶対にブレてはいけないポイントを決めそれを細分化して事業のアイディアにつなげる等、目的を失わないようにまずはイメージや思い描いている理想像を明確化しましょう。
また、ここで重要になるのはスピード感と臨機応変さです。
初期に考えていたアイディアが実はニーズがなく、収益が見込めないことはよくあることです。
そのため、何度も仮説検証を重ねPDCAサイクルを回しましょう。
そうすることで、より成功する確率が高い事業が出来上がるでしょう。
成長期の課題やポイント
成長期では創業期よりも、売上や安定性が上がるフェーズです。
このフェーズでは主に売上アップや認知度アップを図ります。
例えば、インスタグラムやフェイスブックを使い認知度を上げる事や大きなお金を使い広告に回すという手段があります。
ですが、このフェーズで気をつけることとして、お金についての計画や開発スケジュールをより細かくして進めることです。
一気に成功が見えてきて、浮かれてしまう気持ちもわかりますが、カスタマーに対するサポートや安全性を怠ると一気に落ちてしまうことが考えられます。
例えば、セブンイレブンを傘下に抱えるセブン&アイでは、7payというアプリを開発していましたが、急ピッチで開発が進められていたことが原因で安全性が確保されておらずサービス停止になる事態まで発展してしまいました。
この様な事から、しっかりと顧客の立場に立って考えることでミスが起きる確率を下げることが重要であることがわかります。
安定期の課題やポイント
安定期では収入やユーザー数が安定してきてきます。
ここで重要なのは人材確保や人材育成をすることです。
次のステップで拡大するフェーズを迎えるための「タネ」を作る事が重要でしょう。
より優秀な人材を集め、事業の成長速度をあげるための準備をしましょう。
注意するポイントは、今まで量で戦う戦略を打っていた場合は質を重視する戦略も考えてみましょう。
量だけでは他社の製品と差別化が図ることが出来ない場合が多いです。
そのため、ユーザーに対する価値提供をもう一度よく考えてみましょう。
質を高める事ができると、他社の製品を選ぶことよりも自社を選ぶ理由を提供することが出来ます。
拡大期の課題やポイント
拡大期での主なポイントは、黒字化をすることです。
事業としての存在感を確立するためにも、収益を伸ばすことを考えるフェーズとなります。
先ほどの章で説明した通り、ここのフェーズでは同じ企業内で同じ顧客を取り合う可能性が出てきます。
その際に備えて、他の担当者が嫌な気持ちにならないように、対策を考えておくことも必要です。
新規事業は社内で行われているため、イグジットを重視するのではなく、収益やブランディング力があるかが重視されます。
イグジットとは企業の売却、上場を考えること
そのため、拡大期はあまり多くのことを必要とせず、収益をより多く増やすことを目標としています。
新規事業フェーズのまとめ
今回は以下のことについて説明しました。
- 新規事業のフェーズとは
- 新規事業をフェーズごとに捉えるメリット
- 新規事業フェーズのポイントを解説
- 新規事業フェーズの課題やポイントとは?
この記事を参考に実際に自社がどのフェーズにあるのか確認することで、事業をスムーズに進めることができるようにしましょう。
フェーズを理解することで、自社の成長速度を理解することにも繋がります。そのため、他社はどの様なフェーズにあるのかを参考に理解をしてみましょう。
また、新規事業ではリスクを確認することも重要です。新規事業でのフェーズを理解することで、失敗する確率を少しでも減すことができる様に計画してみましょう。